東大女子が学んでいる「企業の選び方」 OG・OB訪問で絶対に聞くべき質問とは

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逆に言えば、マミートラック型は、いわば「ゆるキャリ」で、ゆっくり長く働きたいと思う人にはお勧めかもしれません。時短がどうなっているか、パートナーが転勤になったときにどうなるか、自分自身の転勤の地域が限定されているのかといったあたりがチェック項目でしょうか。

こういう企業に勤めた人も、中途退社の逸失利益は莫大になりますので、ゆるキャリでも、というより、ゆるキャリの場合こそ、勤め続けられるかどうかが重要なポイントになります。福利厚生を含め、比較的待遇のよい会社が多く、辞めたとたんに、元のような条件のよい職場に戻るのは至難の業です。人生、おカネのためではもちろんありませんが、逸失利益が億単位であることを理解した上で判断しましょう。

「ワークライフバランス型企業」の見分け方

マミートラック型と、本当にWLBを考えている「ワークライフバランス型企業」の見分け方は簡単です。「子持ちの女性管理職が複数いるかどうか」です。マミートラック型では、女性の管理職はいないか、いても未婚か子なしであることがほとんどです。これがまさに「お母さんの線路」の現実なのです。

なのでまずは、『就職四季報』女子版の「女性の役職者」の項目で、女性管理職の数をチェックしましょう。従業員数と比較して、これが低い会社は、基本的には「均等支援」の発想が薄いと考えられます。

そのうえでいちばん重要なのが、この「子持ちの女性の管理職が複数いるか」というチェック項目です。こんなデータは、当然ですが、会社はもちろん、『就職四季報』女子版にも載っていません。OG・OB訪問のときに、必ず聞いておきましょう。この会社で子どもを持って働き続けるのかという判断をするうえで、とても重要な情報だからです。

「男にはなんの関係もない」と思うかもしれませんが、男性でも30代以降は「会社に全力投球」という生き方は、なかなかできません。夫ひとりの稼ぎで家族を養うことは難しい時代ですから、出産は男性の働き方にも大きな影響を及ぼします。そしていずれ介護も降ってきます。決して女性だけの問題ではないのです。

ブラック企業からの身の守り方

最後にブラック企業からの身の守り方について、よく言われていることですが、ひとつだけ。タイムカードの管理もろくにしていないような会社では、過労による労災を主張するときにも、根拠となる労働時間がわかりません。

これは危ないと感じ始めたら、職場の時計の写真を、出勤時と退勤時に、毎日スマホで撮っておきます。さらに別途、パソコンのハードディスクの、自分だけがわかるフォルダに、出社とともにファイルを保存し、退勤時に同様のファイルを保存してください。フォルダにはもちろんパスワードをかけておきます。

これらは、何かあったときに、あなたが実際にこの時間からこの時間まで会社にいたということを示す証拠になります。活用されることがないことを祈りますが。

瀬地山 角 東京大学教授

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せちやま かく

1963年生まれ、奈良県出身。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、学術博士。北海道大学文学部助手などを経て、2008年より現職。専門はジェンダー論、主な著書に『お笑いジェンダー論』『東アジアの家父長制』(いずれも勁草書房)など。

「イクメン」という言葉などない頃から、職場の保育所に子ども2人を送り迎えし、夕食の支度も担当。専門は男女の社会的性差や差別を扱うジェンダー論という分野で、研究と実践の両立を標榜している。アメリカでは父娘家庭も経験した。

大学で開く講義は履修者が400人を超える人気講義。大学だけでなく、北海道から沖縄まで「子道具」を連れて講演をする「口から出稼ぎ」も仕事の一部。爆笑の起きる講演で人気がある。 
 

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