東大ジェンダー論教授の「北朝鮮旅行記」

中国と北朝鮮の「性役割分業意識」の違い

百聞は一見にしかず。20年前に行った際の「北朝鮮旅行記」をご紹介します(写真:yuri / PIXTA)
アベノミクスでも注目を浴びる、「女性の活用」。一見、聞こえのいいこの言葉、実は大きな問題をはらんでいるという。本連載では、そんな「男と女」にかかわるさまざまな問題を、異色の男性ジェンダー論研究者が鋭く斬る。

 

みなさんの中で、北朝鮮に行ったことのある方はどれくらいいるでしょう? そもそも「行けるの?」と思われた方が多いと思いますが、日本にある旅行代理店がツアーを扱っています。現在の外務省の渡航安全情報を見ても、危険度4段階のうちの下から2番目「渡航の是非を検討してください」。即座に問題となるレベルではありません。

そもそも無政府状態になっている一部の北アフリカ・中東圏の社会と異なり、完全な監視国家なので、拉致でもされないかぎり、問題は起きません。夜にホテルから出ると、ガイドさんが尾行までしてくれました

私自身が行ったのはちょうど20年前の4月。そのときのことを思い出しながら、ジェンダーも含めて、北朝鮮の社会のあり方について少し考えてみたいと思います。

1995年の4月、旅行会社のツアーに参加して、4泊5日で平壌に行きました。現在は経済制裁などもあって不可能ですが、当時はチャーター便ながら日本から直行便がありました。現在の県営名古屋空港で、北朝鮮の高麗航空の旧ソ連製飛行機に搭乗です。

救命胴衣の説明を水平飛行に入ってから始めたり、復路の便ではそもそも説明がないので「おかしいな」と思って座席の下に手を入れてみたら、救命胴衣の袋があるのに中が空っぽだったりと、フライトだけでも「やってくれるやん」という感じだったのですが、実際に見る北朝鮮社会は、もちろんそれ以上に興味深いものでした。

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