WLBには、男女を平等に扱うという「均等支援」と、子育てや介護との両立を保証するという「両立支援」の2つの要素が不可欠です。
東大女子が学んでいる、会社の見分け方
両方欠けているのを「昭和型化石企業」としておきましょう。男性ばっかりが夜中まで働いているような会社です。これは論外。
こんなところが「男女平等」になると、男性も女性も夜中まで働く職場が出来上がります。これを「男女ともモーレツ社員型企業」としましょう。私の周囲で圧倒的にこのタイプが多いのは、キャリアの国家公務員です。夜の2時3時帰宅は当たり前。国会答弁の準備や予算編成の時期は、月曜日に出て土曜日に帰るなんて働き方も。かつては、省の名前からして「通常残業省」という省がありました。その後、「現在残業省」と名前を変えて存続しているそうです。
ただ、育休はきちんととれますし、省にもよりますが、厚労省などは差別も少ないので、女性でも頑張れば出世していきます。同省歴代の女性の事務次官2人は、いずれも子持ちです。30~40代になると比較的、働き方にも自由度が出てくるようです。
次のパターンは、男女差別は残っているものの、子育て支援はしっかりしているという会社。「マミートラック型企業」です。
「マミートラック」というのは、「お母さんの線路」という米国の用語で、お母さんになった瞬間に「線路」が変わってしまい、決して出世できないという現象を指す言葉です。育休や時短がとりやすく、比較的、福利厚生のよい大企業に見られるパターンです。
やっかいなことに、こういう会社はしばしば「女性に優しい」と勘違いしているのですが、女性の能力を活用する方法をまったくわかっていないのが実態です。こうした会社の人事考課では、業績を入社以来の累積で評価しがちです。したがって、女性が30代に育休をとると、その1年分のマイナスが、40代になっても消えず、年下の男性に人事で追い抜かれていくのです。本来、育休明け5年後の評価は、それまでの単なる累積ではなく、その前1~2年の実績に基づいたものであるべきなのですが。
子なしの女性のみが長時間働いて出世し、優秀だけど残業はあまりしないお母さん社員が出世しない会社。これは一見「モーレツ社員型」と「マミートラック型」が併存しているように見えますが、これこそまさにマミートラック型の特徴だと考えてください。家庭を顧みずに働かないと、評価しない会社なのです。
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