就職サイト「学情」に物言う株主が噛みついた理由 東証もプライム市場の基準ボーダー企業を注視
関係者によれば、リムが学情に目をつけた理由はもう1つあるという。それは、冒頭で紹介したように「プライム市場にふさわしくない」というものだ。
2022年4月からスタートした東証の市場改革で、プライム市場の上場維持基準は「流通株式時価総額100億円以上」「流通株式比率35%以上」、そして「1日の売買代金が2000万円以上」と定められた。学情の場合、前述したファイナンスによって株価が下落、一時、流通株式時価総額の基準に抵触してしまったのだ。
現在は株価も回復し基準はクリアしているものの、「学情の場合、流動株式比率が60%以上あり、基準を満たそうとすれば160億円程度の時価総額が必要で、株価が下がればすぐに基準に抵触してしまう。そもそも資本効率を考えずにファイナンスしているような企業がプライム市場に上場しているのはおかしい」と金融関係者は疑問を呈す。
学情は本日(12月12日)、2022年10月期の決算発表を予定している。同社は東洋経済の取材に対し、「株主提案を受けているのは事実」としながら、「決算発表時に取締役会としての意見を開示するのでコメントは差し控える。人事の件は、それなりのスキルのある人材を偶然採用しただけ。時価総額の向上に関しては、従来以上に株価を意識してさまざまな施策を行っていく」とコメントした。
狙われる「基準ボーダー企業」
とはいえ、学情だけが狙われているわけではない。
2022年6月の株主総会シーズンでは、プライム市場の上場基準に抵触し、基準達成に向けた計画書を提出する2社が、アクティビストから株主提案を受けている。
このときの株主提案はいずれも否決されたが、アクティビストが基準ボーダー企業を狙う動きは続いているようだ。
アクティビスト事情に詳しい金融関係者によれば、「基準のボーダーラインにいる企業の株式を数多くのアクティビストが取得しており、水面下で交渉している」と明かし、「交渉がまとまらなかった企業については、株主総会前に資本政策や株主還元などを求める株主提案が相次ぐのではないか」と見ている。
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