就職サイト「学情」に物言う株主が噛みついた理由 東証もプライム市場の基準ボーダー企業を注視
資本効率を考えず、期間収益や規模だけを追求する古い体質は、プライム市場にふさわしくない──。
プライム上場企業で、学生や転職者向けの就職サイトを展開する「学情」が、2023年1月の株主総会に向けて、アクティビスト(物言う株主)から株主提案を受けていたことが東洋経済の取材でわかった。
2022年4月から東京証券取引所の市場改革によってスタートしたプライム市場。その上場基準ギリギリの企業が、アクティビストから狙われるケースが増え始めている。
リムは株主還元や定款変更を要求
今回、学情に株主提案を行ったのは、香港の投資会社であるリム・アドバイザーズ。事情に詳しい関係者によれば、まず学情が2022年7月末時点で現預金を約46億円、さらに投資有価証券を約54億円と、合わせて100億円近く抱え込んでいる点を問題視している。
これらは総資産の8割程度に相当し、自己資本比率91.4%という過剰資本の原因になっていると指摘。大きな設備投資など必要がないビジネスモデルのため、株主還元をしなければ過剰資本を解消できないとして、自己株買いや配当金の増額を求めているという。
また、学情が2021年に自己株式を活用した新株予約権を証券会社に割り当て、希薄化リスクから株価が下落した経緯を指摘(現在は新株予約権は消却済み)。同社が株主資本コストを意識していない証左だとする。
さらに2022年10月には、新株予約権の割当先である証券会社の幹部が学情に転職し、財務戦略担当のアドバイザーとして働き始めたとし、将来的に再び希薄化リスクが生じる懸念を抱かざるをえないと主張。資本コストの開示や、自己株消却を株主総会の決議で実施できるよう定款を変更するよう求めているというのだ。
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