Yコンビネーターのバッチに加わることができるスタートアップは幸運だが、それでも創業にはいろいろな不安がまとわりつく。まず、自分のビジネス・モデルはこれで大丈夫なのかという疑惑が、いつもわき起こってくる。無理もない。成功するアイデアはいつも、不可能性の側へ少しだけ傾いているものだからだ。そんな恐怖を叩きのめさなければならない。
また、独立心を持っていなければならない。親や教師、上司らに指図されて育ってきたのに、ここには誰もボスがいない。Yコンビネーターのアドバイザーも、正解を知っているわけではない。これで縮み上がってしまう起業家もいるようだ。
というわけで、グラハムによるとどのスタートアップも「ガタガタ電車のような内情」でビジネスを始めるのだという。ただ、「失敗したら、またやり直せばいい」と言う。
Yコンビネーターからは、ドロップボックスやエアー・ビー・アンド・ビー、レディッドなどの有名企業が育っている。これまでYコンビネーターを卒業したスタートアップは、2005年の創業以来800社を超えている。
スタートアップが当たり前の世の中に
グラハムは、先頃Yコンビネーターの会長職を次世代に譲り渡した。起業家らへのアドバイスは続けるが、日常の業務からは退くという。その理由は、Yコンビネーターをもっと拡大するためで、大きな組織の運営は自分には向いていないという判断からだという。
シリコンバレーにいると、もはやスタートアップは珍しいことのようには思われない。グラハムもこう語る。
「もうすぐ、大学を卒業すると3つの選択肢が見えるようになるだろう。大学院へ進学する、就職する、起業する」。
そして「起業が増えるということは、産業革命規模で起こる経済の転換」だと付け加える。しかも、これまで投資家主導だったこの世界は、プログラマー主導の世界に変わっているという。
人々がアイデアと踏ん張りで仕事をしていく社会は、活気のあるものになるだろう。グラハムは、そんな時代の始まりを助けたのだ。
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