現在、世界で人工知能(AI)に対する危機感が議論されている。コンピュータが人間の能力を上回るようになって、勝手に思考、行動し、人類を滅ぼしてしまうのではないかという恐れだ。
レイ・カーツワイルは、いわばこの議論の火付け人と言える。彼が記した『Singularity is Near(邦題:シンギュラリティは近い)』という本は、現在のテクノロジーの発展を辿っていくと、それが2045年に訪れると予想、人々を混乱させた。
「まゆつば」から、再注目へ
2005年に同書が出版された際には、発明家として知られるカーツワイルの突飛な予言を眉唾だと捉える人が多かったはずだ。2005年と言えば、iPhoneが発売される数年前。人々はコンピュータを使ってはいても、それが自分の生活の隅々にまで浸透するという感覚はまだ持ち合わせていなかったからだ。
ところが、それから10年。カーツワイルの予測に人々の目が再び集まっている。ひょっとすると、あれは本当のことになるのではないかと感じられるようになっているからだ。
ところで、カーツワイルは決して危機感を持ってそんな予想をしたわけではない。それどころか、彼にとってシンギュラリティは歓迎すべき時代の到来を意味している。
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