"動的な独占"こそが、技術革新を加速する ピーター・ティールが語る「成功する起業」

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(撮影:尾形文繁)

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『ゼロ・トゥ・ワン』の著者で、シリコンバレーを代表する起業家、投資家の1人であるピーター・ティール氏が2月下旬に来日した。「15年前に来日したときは仕事で立ち寄っただけ」なので事実上、初の日本訪問といえるだろう。
同書において、ティール氏は「小さく始めて独占する」「ファーストムーバ-ではなくラストムーバーになる」など、実践的で切れ味するどい起業論を展開。多くのスタートアップ経営者や投資家に影響を与えてきた。
独特のセンスにより成功した起業家、投資家――。そう聞いただけで、鼻持ちならないような人物なのではないか、と勝手に警戒していたのだが、実際のティール氏は想像の真逆だった。質問をするとその意味を確認し、一度、頭の中で答える内容を整え、それから丁寧に説明を始める、真摯な人物だった。
以下、インタビューの様子を前編、後編に分けて掲載する。前編では、「教育により起業家は育つか」「独占は本当に善なのか」というテーマについて聞いた。

 

後編:「気の合うチーム」がゼロからイチを生み出す

ほとんどの人が起業家になりたがらない

――今回の本は、大学の講義をまとめたものですが、「ゼロから1を生みだす」という能力は教育によって備わるものでしょうか。それとも生まれながらの能力でしょうか。

これはNature(ネイチャー、本質、性質)なのか、それともNurture(ナーチャー、育成するもの)なのか、という質問だと思います。言い換えれば遺伝子か、それとも環境かという質問です。私の答えは、両方とも必要だということです。

米国では起業家精神を非常に崇拝しています。しかし、起業家が大事であると思う一方で、実際には人々は起業家にはなりたくないとも思っています。カリフォルニアであっても、そして非常に起業家精神が旺盛だといわれているイスラエルであっても、実は起業家になりたいという人より、むしろ起業家になることに対して、心理的な抵抗を感じていたり、危険であると思っていたりする人のほうが多いのです。

起業家になるために、多くのことを学ぶことが可能です。ほかの会社よりいい会社をつくるためのコツというものも学ぶことはできます。私自身、ビジネスの戦略であるとか、どのように会社を創業したらいいのか、どのように重要な決定をするべきか、という点で、教えられることももちろんあります。

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