「気の合うチーム」がゼロからイチを生み出す ピーター・ティール「起業の極意」を語る

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(撮影:尾形文繁)
『ゼロ・トゥ・ワン』の著者で、シリコンバレーを代表する起業家、投資家の1人であるピーター・ティール氏が2月下旬に来日。多くの講演やインタビューをこなした。同書で、ティール氏は「小さく始めて独占する」「ファーストムーバ-ではなくラストムーバーになる」など、実践的で切れ味するどい起業論を展開。多くのスタートアップ経営者や投資家に影響を与えている。同氏へのインタビューの様子を前編、後編に分けて掲載する。後編は、「起業チームの重要性」「日本企業のポテンシャル」について聞いた。

 

前編"動的な独占"こそが、技術革新を加速する

――人材と資本を集中させることがイノベーションを加速させる、との話がありました。その点、米国では国防総省がインターネットをつくり、NASAが宇宙開発を進めた。つまり、軍事技術と繋がった巨大プロジェクトが大きな役割を果たした経緯があります。イスラエルも同じだと思います。こういう要素が日本の場合は非常に弱い。これは新しい価値を生むうえで、マイナスだと思いますか。

イノベーションを推進する源は、中小企業であっても、大企業であっても、大学のような非営利団体であっても、いろいろなところにある。また政府といっても軍事部門だけでなく、非軍事部門もある。さまざまな組織がイノベーションを推進できます。

軍事的組織の役割は小さくなっている

例えば、ヘルスケア研究は非軍事ですが、大きなイノベーションの可能性がある。確かに、歴史的に見ればイノベーションの多くが軍事的な支出によって支えられており、とくに20世紀における米国はそうでした。しかし、過去に比べれば、軍事的組織がイノベーションの推進に果たす役割は、小さくなっています。もちろんアポロ月計画が宇宙開発を引っ張り、1960年代、70年代に国防総省がいろいろ牽引しましたが、最近はその影響力は小さくなっています。

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