36歳で希少がん発症「仕事を失った会社員」の今 「がん患者と仕事」病院や会社の取り組み

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面会謝絶の入院を終え、ようやく会えた家族との写真(横山光恒さん提供)
がんは、「2人に1人が罹る」と言われるほど身近な病だ。かつては「不治の病」の印象が強かったが、現在がん種によっては5年生存率が9割を超えるものもあり、治る病になりつつある。
一方、国立がん研究センターによると、がん患者の3割が就労世代で、がん診断時に働いていた人のうち5人に1人は、がん診断後に退職・廃業している。「がんになったら働けない」というイメージから退職してしまうと、がん克服後の生活がままならなくなる。また、企業にとっても貴重な人材を失うのは大きな痛手だ。
がんで職を失った男性と、がんに罹った社員のサポートに注力する企業、そして医師に話を聞いた。

がんを理由に退職勧奨を受けた男性の体験談

横山光恒さんは、36歳のときに希少がんを発症した。長年SEとして昼夜問わず働いていたが、命も危ぶまれる状態で、急遽入院を余儀なくされた。1年2カ月に及んだ入院期間中は、「治療費と家族の生活費の捻出に追われた」(横山さん)という。

「有給休暇や傷病手当、医療保険を駆使したが、何年もかけて貯めたお金がとんでもない速さで消えていった」(横山さん)

現在は、限度額適用認定証があれば、窓口での支払いは自己負担限度額までで済む。しかし、当時は高額療養費の支給まで、かかった治療費はすべて患者が立て替えなければならなかった。

「入院中は、『あと数カ月で破綻するから、子どもにお金を残すには何月まで生きていたらやばいな』と考えていた」(横山さん)

「治療をやめて、家族に生命保険金を」と思い悩んだが、奇跡的に退院が決まった。体調は万全ではなかったが、「働かなければ、家族が生きていけない」と考え、すぐに復職。しかし、横山さんを待っていたのは、思わぬ配置転換だった。

「復職後、可愛がっていた10歳下の後輩の部下になりました。降格理由は『がんだから』。職を失いたくないなら、受け入れるしかなかった」(横山さん)

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