まず全体の定着率の平均は86.5%。男性87.4%、女性83.8%だった。これはニコンのように高卒も含む数字。男女差も小さく、全体的に高い定着率となっている。
対象社数が10社以上の業種で定着率がもっとも高かったのは電気・ガス業の96.6社(10社)。123位四国電力98.5%、130位中国電力98.2 %、159位九州電力・東北電力97.1%など電力各社が業種内の上位となった。2011年3月の東日本大震災直後に電力会社に入社した社員の多くは業界全体が厳しい状況にある中でも退職することなく、依然、高い定着率を誇っている。
他に医薬品95.0%(17社)、ガラス・土石製品94.6%(10社)、機械92.8%(50社)、精密機器92.2%(17社)、電気機器91.6%(86社)、輸送用機器91.5%(49社)なども高い。
一方、低い業種は、小売業71.5%(47社)、サービス業75.1%(49社)、卸売業82.3%(78社)、建設業82.4%(43社)、不動産業82.8%(13社)となった。
この中で不動産は三菱地所、三井不動産、NTT都市開発、平和不動産、和田興産の5社は100%(1位)。しかしこれ以外の8社はランク外と格差が大きい業種といえる。
さて、今回で3回目となる本ランキングだが、例年どおり製造業が上位に多くランクインした。このランキングの特徴は高専卒、専門卒、高卒など大卒者以外の新卒者も含むこと。上位企業は学歴や担当している仕事に関わらずどの社員にも働きやすい職場である可能性が高そうだ。
土日勤務の多い企業の定着率は低い
一方で土日の勤務が多い小売業やサービス業などは有給休暇取得率と同様に比率は低い。今回の対象企業は業界を代表する会社が多いが、それでもなかなか休暇を取りにくい現実がある。こうした業種の格差をさまざまな手を使い少しでもなくすことが日本全体の定着率を上げるためには必要だ。
一般に「ホワイト企業」はこの新卒3年後定着率、そして有給休暇取得率、残業時間、さまざまな福利厚生制度など自分がゆったり働けるかどうかで判断されることが多い。だが、社会全体に対してよい会社を「ホワイト企業」とすると、働きやすさだけでなく、事業面での幅広い取り組みなどいわゆるCSR面での対応は必須だ。
こうした点は企業判断の際には見落とされがちだが、突然の不祥事や、海外のNGOや政府などから批判や制裁を受けたりして、事業活動に影響が出てくることもある。
若手の定着率が高く、従業員の待遇がよくても、事業が傾いた会社は過去に数多く存在する。「3年後定着率」が高いだけでは「よい会社」とはいえない。会社選びでは、企業のコンプライアンス面の体制や海外のサプライチェーンの把握など他の多くの点も考慮して行うべきである。
なお、そうした情報をご覧になりたい場合は日本最大の情報を掲載する『CSR企業総覧』やその評価や使い方を解説した『指標とランキングでわかる!本当のホワイト企業の見つけ方』をご活用いただきたい。
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