最近の新しい重要な科学分野の中には、惑星規模で自然の状態を調べることで、それを明らかにしようとしている分野がある。「地球システム科学」だ。
ヨハン・ロックストロームとウィル・ステファンに率いられたその第一人者たちのチームが研究しているのは、世界じゅうの生態系の回復力だ。
彼らは各生態系の安定がどのような要素によって、完新世を通じて保たれてきたかに注目し、各生態系がどの時点で崩れ始めるかをモデル化の手法で実験した。
彼らが解明しつつあるのは、わたしたちの命を支えているシステムの仕組みと、それに内在する弱点にほかならない。このすこぶる意欲的な研究は、地球の営みについてのわたしたちの理解を大きく変えた。
彼らは地球の環境に備わっている9つの限界――「地球の限界」――を突き止めた。人間活動の影響がその閾値内に留まっている限り、わたしたちは安全に活動を続けられる。つまり持続可能ということだ。
わたしたちがあまりに地球に多くを求めすぎて、それらの限界が1つでも超えられれば、命を支えているシステムが危険にさらされる。取り返しがつかないほど自然が衰えて、完新世の温和な環境を維持してきたその能力が失われる恐れがある。
もはや時間の問題である地球の破滅
地球の制御室でわたしたちはそれらの9つの限界のつまみを不用意に回し続けている。ちょうど1986年にチェルノブイリ(チョルノービリ)の制御室で不運な夜勤の運転員がしていたのと同じようにだ。
チェルノブイリの原子炉にも、内在する弱点と限度があり、その中には運転員が把握しているものとしていないものとがあった。運転員たちはシステムの試験のため、意図的につまみを動かしたが、そうすることのリスクについては恐れもしていなければ、理解もしていなかった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら