人類の活動が脅かしている「地球の9つの限界」 成長が終わるとともにシステムは突如崩壊する

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限度以上につまみが動かされたとたん、核分裂の連鎖反応が始まり、原子炉はたちまち不安定化した。そうなってはもう惨事を食い止める手立てはなかった。複雑でもろい原子炉が暴走しており、もはや爆発は時間の問題だった。

今の人間活動がこのまま続けば、地球の破壊もやはり時間の問題だ。9つの限界のうち、4つはすでに超えられてしまった。

肥料の過剰投与によって、地球を汚染し、窒素とリン酸の循環を壊しているのが1つ。森林や草原や湿地など、陸上の生息環境を見境のないペースで農地へ変えているのが1つ。

地球史上に例のない速さで大気中の二酸化炭素を増やし、地球を急速に温暖化させているのが1つ。大量絶滅時の化石の記録に匹敵し、平均の100倍以上にもなる生物種の絶滅率(言い換えるなら、生物多様性の喪失率)を招いているのが1つだ。

当然ながら、気候変動のことはそこかしこで語られている。しかしすでにはっきりしているのは、人為的な気候変動は、数多くの差し迫った危機の1つにすぎないということだ。

「大加速」から「大減退へ」

地球科学者たちの研究によって、現在、4つの警告灯が点灯していることが明らかになっている。わたしたちの活動はすでに安全が保証される範囲を超えてしまっている。爆発に降下物が伴うように、「大加速」は今その副産物として、生物界に真逆の反応、「大衰退(グレート・ディクライン)」を引き起こしつつある。

科学者の予測によれば、わたしが生きた時代を決定的に特徴づけていた地球環境の破壊がほんの序の口だったと思えるほど、次の100年にはさらにすさまじい破壊が起こるという。

(翻訳:黒輪篤嗣)

デイヴィッド・アッテンボロー 自然史ドキュメンタリー制作者

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David Attenborough

英国を代表する自然史ドキュメンタリーの制作者。BBCの画期的なシリーズを世に送り出し、世界的な自然史ドキュメンタリーの作り手として確固たる名声を博した。代表作に《地球の生きものたち(Life on Earth)》(1979年)、《ライフ・オブ・バーズ/鳥の世界(The Life of Birds)》(1998年)、《ブルー・プラネット(The Blue Planet)》(2001年)、《アッテンボローのほ乳類 大自然の物語(The Life of Mammals)》(2002年)、《プラネットアース(Planet Earth)》(2006年)などがある。

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