「生活に支障出るほど感情移入」ふかわさんの苦悩 年を重ねるほど周囲の顔色に敏感になっていく
日常生活に支障をきたすほど感情移入
――新刊『ひとりで生きると決めたんだ』の中で、ご自身のことを「人から見たら本当にどうでもいいことばかり気にしてしまう」とおっしゃっています。日常のささいな事柄をどこまでも深掘りするふかわさんの姿に、世間一般と見方や感覚がズレていても構わないのだと救われた気持ちにもなりました。
そうでしたか。僕自身は誰かを救おうという気持ちはいっさいなく書いているんですけど、結果的に副産物として、そのように感じてくれる方がいるのは大歓迎です。
――22個あるエッセイの中でも一番心に残ったのは、「I'll Remember April」。ふかわさんが運転するオープンカーに一枚の葉っぱが落ちてきて、一緒に家に連れて帰る物語です。その葉っぱの名は、楠三郎さん。楠さんとの会話があたたかくて、ふかわさんの想像の世界に引き込まれました。
このお話は想像ではなくて、実際に起きたことと感じたことを忠実に書いたものなんです。ちょうど、ラジオの仕事でソニー・クラークの「I'll Remember April」という曲をかけた日の、帰りの出来事でした。
僕としてはどこまでが現実で、どこまでが物語なのか、その狭間をぼやかして描くのがすごく好きなんですよね。楠三郎という葉っぱは、今も自分の家に居て、この曲のタイトルのように、来年の4月になったら土に戻そうかと思っています。
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