「竹下通り」知られざる深夜のごみ収集作業の裏側 非効率?「事業系ごみ」の収集作業の問題点

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ただ、このような収集形態を構築するにあたっては、経営者の思惑が一致するかが大きな問題となる。事業を拡張して会社を成長させたいという思いが強ければ、連携収集の受け入れは難しくなる。また、業者間での利益の分配についての手順の確立も課題となる。これには連携業者間で議論を積み重ねて調整していくコストも生じる。

限られたリソースを上手につかうには?

事業系廃棄物の連携収集が広がっていけば、各社の収集効率の改善が見込めるようになる。そうすると、これまでは排出量が少量のため収集を断られていた小規模事業者も収集の対象となっていく。結果、東京23区のように小規模事業者から排出されるごみを有償で収集している行政側の負担が改善されるだろう。

また、この連携収集による効率化により捻出された清掃リソースを活用していけば、新たな資源収集の可能性が見込めるようになる。今回の事例で言えば、段ボール収集に充て、広域的なエリアで収集して回れば、一定量を確保できるようになり、ビジネスとしての成立が見込まれる。

今回視察した白井エコセンターでは、少しでもドライバーやそれを采配・サポートする配車係、マニフェストなどの管理を行う事務担当者の負担を軽減すべく業務のデジタル化を進めていた。前述のWEB受付システム、AIによる配車、ごみの量を記録する車載器などである。

これらは、負担を軽減するに留まらず業務の合理化によりビジネスを大きく好転させているようだ。もし、より多くの廃棄物収集業者が連携収集の趣旨に賛同し、各社が同様にデジタル化を進めていくならば、さらに効率的に廃棄物と資源を収集することができるようになるだろう。

廃棄物の収集は資源循環の要であるにもかかわらず、多くのルールと経済性の低さにより理想どおりに進んでいない側面がある。連携収集と事業系廃棄物の処理業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)は、資源循環型の街づくりに貢献するに違いない。

廃棄物業界では慢性的な人手不足の状態が続いている。これは、競い合ってごみを収集するのでなく、限られたリソースをどのように有効に使って事業を継続させていくかを検討する時代になったということであろう。

事業者間の連携が進めば、捻出されたリソースの活用により、新たな資源循環の形が構築される可能性も広がる。今後の事業系廃棄物の収集業界の協力のあり方が、新たな資源循環社会を作っていくといっても過言ではない。

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藤井 誠一郎 立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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ふじい せいいちろう / Seiichiro Fujii

1970年生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了。博士(政策科学)。同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師、大東文化大学法学部准教授などを経て現職。専門は地方自治、行政学、行政苦情救済。

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