誤解が多すぎる「ヤングケアラー」の思わぬ実態 支援の第一歩は、多様な声に寄り添うこと
2020年3月、埼玉県で全国初のケアラー支援条例が成立したこと等をきっかけに、ヤングケアラーの存在に世間一般からより一層注目が集まりつつあります。そもそもヤングケアラーとはどのような存在なのでしょうか?
『経済がわかる論点50 2023』の執筆者の1人である、みずほリサーチ&テクノロジーズ社会政策コンサルティング部の小佐野有紀氏が、若者ケアラー(18歳からおおむね30歳代までのケアラー)としての自身の体験を織り交ぜながら、ヤングケアラー・若者ケアラーの実態と支援について解説します。
ヤングケアラーとは?
「ふぅん……」「へぇ……」。大学生のころ、祖父の介護のことを周囲の友達に話すと、きまって薄い反応が返ってきた。きっと、学生の私が介護に関わることなど想定外で、みんな戸惑っていたのだと思う。
厚生労働省設置のヤングケアラーに関する特設HP「子どもが子どもでいられる街に。〜みんなでヤングケアラーを支える社会を目指して〜」では、「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」をヤングケアラーとして説明している。ただ、それが具体的にどの程度を指すのかは明記されておらず、法令上の定義もない(令和4年現在)。
しかし、ヤングケアラーは確かにこの日本社会に存在している。厚生労働省と文部科学省が令和2年度に行った実態調査では、「世話をしている家族がいる」という生徒が中学2年生では5.7%、全日制の高校2年生では4.1%いることが明らかになった。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事