このようなエリート企業を辞めてほかの会社に移った人は少なくないが、仕事の成果が低下するのか、変わらないのか、上昇するのか。この問いの答えを知るために、グロイスバーグは投資銀行のアナリストたちが転職する前後の成績についてのデータを調べた。
それによると、多くの場合、それまで勤めていた会社を辞めて(多くの場合はライバル企業に)移籍した人の成績が低下することがわかった。
さらに掘り下げて検討すると、この人たちが以前の職場で成功を収めていたのは、本人の能力による部分もあったが、その職場で形づくった「人的ネットワーク」による部分が極めて大きかったことが明らかになった。
組織の健全性と活力を保つ重要な資源
前の職場では、有能な上司や先輩についたり、信頼できる同僚たちに意見を求めたり、ある企業合併がもたらす結果についてブレーンストーミングを行ったり、人的ネットワークのメンバーに有力な人物の紹介を依頼したりしていた。
そうした人間関係や人的ネットワークが本人の能力以上の成果を引き出した面は少なからずあって、その大事なものを失ったために、成績と生産性が低下してしまったというわけだ。
過小評価されがちだが、社内の人的ネットワークは組織の健全性と活力を維持するうえで非常に重要な役割を果たしている。この点は、新型コロナのパンデミックで浮き彫りになったことのひとつだ。社内の人的ネットワークの重要性を理解することを怠ってはならない。
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