しかし、残念ながらそうした若者の風潮に迎合している企業の姿もあります。新入社員向けに、「マイパーパス」ワークショップなどを推進する企業もありますが、それではますます個人主義を助長してしまうでしょう。
ですから、私がアドバイザーとして経営のお手伝いをしている企業の方々には、自分が成長するだけではなく、組織として大きな目標に向かっていくことや、ワンチームとしての目標を達成できる組織に価値を見出している人を評価するように伝えています。
帰属意識をつくるには対面が不可欠
チームへの帰属意識を醸成するには、稲盛和夫さんが京セラで実践していた車座での対話や、ホンダが本田宗一郎さんの時代からやっていた「ワイガヤ」などの集団ミーティングが有効です。
「ワイガヤ」は、今は1日で済ませるそうですが、以前は集団で温泉地などに行き、2泊3日もの時間をかけて行っていました。
初日はみんな遠慮しがちですが、やがてフランクに話すようになり、場合によってはケンカ状態にもなります。誰かがちゃぶ台をひっくり返すようなことを言い出し、どんどん議論していく。
夜になると、みんなで温泉に入り、食事をして、輪を作り、お互いの思いを吐き出し、侃々諤々の議論をします。そのうえで、自分たちの一体感を本心から確認しあいます。
そして3日目、チームとして何ができるのかをみんなで前向きに考えるのです。これはとても1日なんかではできないと、ホンダの方からお聞きしたことがあります。
また、私が教鞭をとる一橋大学ビジネススクールでは、毎年9月に新入生を集めて高尾山へ行きます。そこで、命綱をつなげて、みんなでお互いを信頼して木登りなどをするのです。一体感が生まれ、チームとしての洗礼の儀式のような一面もあります。
他にも少なくはなりましたが、運動会をしたり、毎月社員の誕生会を開いている会社もあります。こういった取り組みは、テーマ抜きのチームビルディングになり、会社への愛着を生み出します。
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