「働きやすさ」の追求が企業を傷つけかねない訳 企業が「本当に採用するべき人」の見きわめ方

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日本の会社はビジョンやミッションとしては勇ましいことを言っていても、それが1人ひとりに自分ごと化されておらず、実務レベルに落とし込まれていません。つまり、掲げるだけで終わってしまう「額縁パーパス」と化しているのです。

会社のパーパスを自分ごと化するには、大きな組織ではまず無理でしょう。まずは各部門、各チームの仲間数人と集まって、「我々の仕事を通じて何を実現したいのか」を読み解く必要があります。

仕事は、基本的には仲間とつながって取り組むものです。仕事のパーパスも、仲間とともに考えることで、同じ現場にいながらそれぞれ違う思いを描いていることがわかり、刺激や示唆を受けることができます。

大人数で論じた抽象的な思いではなく少人数で議論したうえで、自分ごととして納得できたものが本物なのです。その思いを広めるためには少し大きなグループで共有し、共感してもらうという手順を取るのがよいでしょう。

日本は一律に「会社のやり方」を決めようとしがちです。原理原則は大事ですが、あまりにも20世紀的だと感じます。

外資系や海外のデジタル系企業は、仕事のやり方について会社が方針を出すことはなく、プロジェクト単位で決めていきます。上司がチームの仲間それぞれの思いや生活環境をもとに、1つのリズムを作るのです。

「働きやすさ」の追求がもたらす弊害

このときに気をつけたいのは、個人を尊重し、配慮するのは大前提としても、「ワンチーム」で働くことのほうがずっと重要だということです。

チームとして目標を達成してこそ、みんなが成長し、自己実現しながら、チーム・組織としてのあり方も実現できたという喜びを感じられます。

残業をしない、育児休暇を取得してもらうというのは、大切なことです。しかし、それだけでは1人ひとりの力が伸びません。

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