故郷に移住した「余命6カ月の男」に起きた重大変化 長寿の人が多い「ブルーゾーン」では何が起きるのか

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「発展したその島はまったくの別世界だ。高層ビルやリゾート、100万ユーロの家がある。サモス島では、人々はお金を大切にしている。ここでは、そんなことはない。多くの宗教的、文化的な祝祭日には、人々はお金を出し合って、食べものやワインを買う。残ったお金は、貧しい人たちに配るのだ。ここは“私”の場所ではなく、“私たち”の場所なのだ」

長寿の秘訣はイカリア島の食事? それとも?

彼は地元の食生活について語ってくれた。

『The Blue Zones(ブルーゾーン) 2nd Edition(セカンドエディション)』(祥伝社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

オリーブオイルと野菜が豊富で、乳製品や肉は控えめ、アルコールは毎日飲むという、地中海式食事法の一種である。イカリア島では、岩場でよく育つジャガイモ、ヤギの乳、豆類、くだものなどを豊富に食べる。また、ギリシャに自生している150種類以上の野菜を季節ごとに集め、サラダやパイにして食べている。これらの野菜の中には、赤ワインの10倍以上の抗酸化物質が含まれているものもある。

村では毎日のように「マウンテン・ティー」が飲まれている。薬として飲まれることもあるが、1日の終わりのカクテルとして、旬のハーブや野菜を使って作られることが多い。新鮮な魚が大好きなイカリアンだが、海から山への移動に1日以上かかっていたこともあり、魚を食べることはあまりない。そのため、魚屋が来ると、魚の匂いがした。

レリアディス博士は、ワイルドマジョラム、セージ(フラスコミリア)、ミントの一種(フリスクーニ)、オリーブの葉の煎じ液、ローズマリー、タンポポの葉を煮出してレモンを少し入れて飲むお茶を挙げた。「この島の人たちは、気休めの飲み物だと思って飲んでいるが、どれも薬になるんですよ」と博士は述べ、こう付け加えた。「ここでの万能薬はハチミツです。ほかでは見られないような種類のハチミツがあります。傷の治療、2日酔いの治療、インフルエンザの治療など、あらゆる用途に使われています。お年寄りは1日の始まりにスプーン1杯のハチミツを食べます。薬のように飲んでいるのです」。

それから3日間、私はレリアディス博士の患者を訪ねるツアーに出かけた。子どもの落書きのようなコースをたどって、谷に降りたり、丘に登ったり、村の間を縫うようにして未舗装の道を進んだ。

近くにある人口800人の町では、墓地に立ち寄って生年月日と没年月日を確認した。アメリカでは5000人に1人しか100歳まで生きられないのに、この1年間で3人の百歳人が亡くなっていた。つまりそれだけ100歳まで生きた人がいたということだ。

ダン・ビュイトナー 研究者、探検家、作家

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だん・びゅいとなー / Buettner, Dan

1960年、アメリカ・ミネソタ州生まれ。セントトーマス大学卒業後、ワシントンのラジオ局勤務。 世界6大陸を自転車で横断し、3つのギネス世界記録を達成する。その後も、健康・長寿・幸福を実現する手法を探し求め世界を旅している。ライフ誌、ナショナル・ジオグラフィック誌などに記事を執筆。 ナショナル・ジオグラフィック誌の特集「長寿の極意」では同最高売上を記録するとともに、「ナショナル・マガジン・アワード」(米国雑誌業界のオスカーと呼ばれる)のファイナリストに選定される。 CNNなどテレビ番組にも多数出演。また、ドキュメンタリー・プロデューサーとしてエミー賞を受賞。

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