「がんばり過ぎる人」ほど長生きできない理由 ある日、パニック障害に陥った仕事人間の告白
ぼくは48歳の頃、パニック発作に襲われた。
当時、患者さんを実際に診るのが好きだった。院長をしながら、往診も続けた。往診の途中で突然動悸が激しくなり、冷や汗が出て、突然胸が苦しくなった。
「あまり気がすすまないな」「嫌だな」とどこかで思っている会議などに出ていると、この動悸発作に襲われた。
自律神経の乱れだ。自律神経は全身に張り巡らされており、心臓や血管、胃腸、ホルモンの分泌、汗腺などに意思とは関係なく、生命活動を保つために働いている。
活発に活動する時には交感神経が優位に働き、リラックスする時には副交感神経が優位になる。そうすることでバランスを取っているのだ。
中年になった時、このバランスが不安定になる。ホルモンの影響が関係していて、更年期に多くなる。
だるい、頭が重い、手足の痺れや痛み、腰痛、肩こり、下痢や便秘、動悸、血圧上昇、立ちくらみ、不安やイライラ、これがいわゆる自律神経失調症の症状だ。
免疫力にも関係している
自律神経は免疫機能にもかかわっている。がんばる交感神経が刺激されると、細菌と闘ってくれる顆粒球が増え、風邪や肺炎になりにくくしてくれる。
がんばらない副交感神経が働くと、リンパ球を増やし、ウイルスに対する抗体を作り、排除する働きをしてくれる。同時に、自然免疫の一種でがん細胞を攻撃してくれるNK細胞ががんを予防してくれるのだ。
新型コロナウイルスとの闘い中でも、上手に副交感神経の時間をとることがとても大切だ。イライラや怒りっぽくなって交感神経優位にしないことも大事なのだ。中年になると、仕事の責任が重くなっていく。結果として交感神経支配に偏って、がんばり過ぎることになる。だからぼくは、52歳の時、『がんばらない』(集英社)という本を書いた。ベストセラーになった。
がんばり過ぎると、顆粒球が発生する活性酸素が悪さをしたり、リンパ球の働きを抑えるため、がんが発生しやすくなったり、血圧を上げたりするのだ。
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