故郷に移住した「余命6カ月の男」に起きた重大変化 長寿の人が多い「ブルーゾーン」では何が起きるのか

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半年が過ぎた。スタマティスは死ななかった。それどころか、彼はあの庭から収穫し、勇気を出して家のブドウ畑もきれいにしたのである。

遅く起きて、昼過ぎまで畑仕事をして、自分で昼食を作り、長い昼寝をするという、島での生活になじんでいった。

(写真:OlenaMykhaylova/PIXTA)

夜になると、家で友人とワインを飲んだり、歩いて近所の酒場まで行き、夜中までドミノ倒しをしたりして過ごした。

年月が過ぎ、彼の健康状態は向上し続けた。両親の家には、子どもたちが遊びに来られるようにと、数部屋を増築した。ブドウ畑を整備し、年間400ガロンのワインを生産するようになった。

そして35年後の今日、彼は100歳になり、がんとは無縁の生活を送っている。彼がしたことは、イカリア島への移住だけだった。

もう1つのブルーゾーン?

私とイカリア島のつながりは、2008年の暮れ、1本の電話から始まった。

「調査しなければならない」

と、人口統計学者のミシェル・プーランがベルギーから電話をかけてきたのだ。

ブルーゾーンを探すために世界中を回っていた彼は、ギリシャの島々で驚くべき発見をした。最近の国勢調査のデータによると、85歳以上の高齢者の割合が非常に高い村々がそこに集まっている。どうやら、イカリア島は健康な百歳人(センテナリアン)の宝庫だったのだ。

その後2年間、ミシェルと私は「ナショナル・ジオグラフィック」の2回の調査団を率いて、イカリア島の驚異的な長寿を調査した。そしてイカリア島にもブルーゾーンがあることを確信した私は、なぜブルーゾーンができたのかを説明する最初の手がかりを探すために出発した。

ブルーゾーンの研究を始めてから、私はどこに長寿のヒントがあるかを知ることができるようになった。

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