故郷に移住した「余命6カ月の男」に起きた重大変化 長寿の人が多い「ブルーゾーン」では何が起きるのか

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余命6カ月と宣告され、故郷であるギリシャのイカリア島に移り住んだ男性に起こった出来事(写真:hirokiss0725/PIXTA)
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どうしたら、生き生きと輝く毎日を過ごしながら長生きできるのだろう。
研究者で探検家であるダン・ビュイトナーは、雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』とチームを組み、研究者たちをも巻き込んで、「長寿者」が多く暮らすエリア「ブルーゾーン」にそのヒントを探す旅に出る。
100歳を超えて長生きする人々──いわゆる「百歳人(センテナリアン)」たちは、何を食べ、どのような環境で、どんな生活習慣を持ち、何を大切にして暮らしているのか。健康長寿の秘密を探るルポルタージュ『The Blue Zones(ブルーゾーン) 2nd Edition(セカンドエディション)』から、ビュイトナーのルポルタージュの一部を紹介する。
ブルーゾーンの1つ、ギリシャのイカリア島に移り住んだ1人の男性に起こったある出来事は、はたして奇跡か、それとも……。

余命6カ月を宣告されて──

第2次世界大戦後の60年間に、25万人ものギリシャ人がアメリカに移住してきた。その中に、スタマティス・モライティスという小柄な男性がいた。彼はエーゲ海に浮かぶ小さな島、イカリア島の出身である。

スタマティスは、手の治療のためにアメリカに渡った。そのままアメリカに残り、ニューヨークのポートジェファーソンに住み、家や学校のペンキ塗りの仕事に就いた。誠実で仕事熱心だという評判がすぐに広まった。その後、オハイオ州に移り、さらにフロリダ州のボイントンビーチに移り、ローズ・ケネディの家の塗装を担当した。

その間に、13歳年下のギリシャ系アメリカ人女性エルピニキと結婚し、3人の子どもをもうけ、3LDKの家と1951年製のシボレーを購入した。つまり、彼はアメリカンドリームを手に入れたのである。

60歳代前半となったスタマティスは、ある日、仕事中に息切れを感じた。息切れの頻度は日増しに高くなっているようだ。階段を上るのもひと苦労。医者がレントゲンを撮ったところ、スタマティスはすぐに肺がんと診断された。おそらく、長年にわたるペンキの煙の吸い込みや、1日3箱の喫煙習慣が原因だろう、と。しかし、スタマティスにはその理由がよくわからなかった。さらに4人の医師が診断結果を確認した。余命6カ月から9カ月と宣告された。

次ページ故郷のギリシャの島に帰ることをふと思いついた
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