【後編】平気で「おせち」を買う人の超残念な盲点 「有名料亭の商品」も「意外すぎる落とし穴」が…

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もちろん、「そんなこといったらすべての食材が輸入できないではないか」「企業に節電を求めるなら生産活動をするなということか」というご意見があるのは理解しています。

でも、私が言いたいのは、「巨大おせちビジネス」にはこういう「裏側」があることを知ってほしいということです。「【前編】平気で「市販のおせち」を買う人の超残念な真実」で述べた「おせちには、添加物が大量に使われる」という問題も含めて、です。

それでも、みなさんは「平気で」買いますか?

「豪華」で「見た目」が華やかだけど添加物いっぱいで、SDGsに逆行した、それほどおいしいとは思えないおせちを、「平気で」高い値段を出してまで買う、そのことに対して、みなさんはどう思われるでしょうか?

もちろん、一部の飲食店などでは、すべて手作りし、大晦日の前日などに手渡しする「こだわりおせち」もあります。「国産」「無添加」にこだわっているおせちも実在します。

ただ、それはあくまで全体のごく一部ですし、今年は「原材料費の高騰」もあり、そういう「こだわりおせち」は、さらに「高額」になっている傾向にあります。

年末にかけて、さまざまな食材が値上がりすることもあり、通常時にお店で食べるのに比べて「割高」に感じることも多く、一般の人が「平気で」買えるものではないような気もしています。

もちろん富裕層なら、そういうおせちも「平気で」買えるのかもしれませんが、そこまでしなくても、「【前編】平気で「市販のおせち」を買う人の超残念な真実」でも述べたように、「短時間で簡単に作れるおせち料理」はたくさんあります

家で作れば、「見た目は豪華に見えなくても、環境にやさしいおせち」はできるはずですし、なにより、家で丁寧に作ったおせちは格段においしいものです。

みなさんご存じかと思いますが、おせち料理にはそれぞれ「意味」があります。

黒豆なら「まめに働いてまめに暮らせるように」という願い、田作りなら「田んぼを作る」で五穀豊穣を願って、数の子は「子孫繁栄」、栗きんとんは「金銀財宝」、エビは「腰が曲がるほどの長寿」……といったようにです。

「おせちに込められた意味」を大事に、手作りの「お祝い膳」を家族で囲めば、「見た目」がさして豪華でなくても、それで十分だと思うのは私だけでしょうか。

気候変動・地球の温暖化は「待ったなし」のところまで来ています。私たちが出したCO₂やゴミ、未来においてそのツケを支払わされるのは子どもたちです。

来年のお正月は家族でおせちを囲みながら、ぜひそういうことにも思いを馳せていただければと思います。

(この記事の前半:【前編】平気で「おせち」を買う人の超残念な盲点

安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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