そこでもうひとつの問題が出てきます。「監修」といっても「外注の食品工場で作られたおせち」が、はたして有名料亭と同じ味が出せるのかという疑問です。
和食は「だし」が命です。こんぶやカツオで丁寧にだしをとって、時間をかけて作るのが「料亭の味」だと思います。
それを「『化学調味料』や『◯◯エキス』や添加物を駆使して大量生産したもの」が同じ味になるものでしょうか。そのことは有名店の料理人さんが一番よくわかっているはずです。
実際に「有名料亭監修おせち」食べてみた感想
何年か前、我が家でも「有名料亭監修の高級おせち」をいただいたことがあります。
例年おせちは家で作りますが、その年は「せっかくいただいたのだから」と、家族・親族10数人で元日にいただきました。
でも、もらっておいて本当に申し訳ないのだけれど、おいしくないのです。みんな箸が進まず、結局半分ほど残ってしまいました。
「本当に、これは『有名料亭で出しているもの』と同じ味なのかな」というのが私の率直な感想でした。
つまり、「◯◯料亭監修」というおせちがたくさん売られていますが、その中には品質を管理し担保する「監修」というよりも、「名義貸し」ビジネスになってしまっているようなものも見受けられる気がしてならないのです。
おせちは一大市場ですから、有名料亭にはいろんなメーカーから「営業」が来るのでしょう。「この店の味を再現して、うちの食品工場で作りますから」といわれて、そこに乗るかどうかということです。
実際にあるシェフは、私に「自分の店では『たんぱく加水分解物』も『酵母エキス』のような調味料も使わないけど、商品になったときは認めるしかない」と話してくれました。
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