「東アジアの脅威」、日米の認識にズレがある 日米安全保障に横たわる課題

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――次に、検討が進んでいる日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直しについて伺います。多くの日本人が見直しに不安を抱いているのはなぜなのでしょうか。

北朝鮮については、攻撃される現実味は薄く、日米でコントロールできるように見える一方、今や日本人の多くが、中国に対して脅威を感じていると思います。弾道ミサイル(BMD)の配備でもわかるように、中国からの脅威には現実味があると実感しています。また、中国海軍が日本南西部近海において日本を牽制しているのは、きわめて具体的な衝突の原因となると懸念しています。

日本が脅威を実感せざるをえない要因となっているのは、現状の日本の防衛能力も米軍との協力配備も十分に効果的ではないと認識しているからです。

中国の脅威が、日米両国の議論を加速させた

――アメリカ政府をして、指針の見直しに本腰を入れさせた要因とは?

ブッシュ・小泉時代(2001~2006年)以降、日米両国は役割(Roles)、役割(Missions)、 能力(Capabilities)について議論をするRMC対話を続け、「日本の防衛」と地域安全の偶発事象から生じる責任のありかを検討し、それを適切な部署に実行させてきました。

RMC対話における主要な関心事は、外部からの脅威の認識、それに対応する防衛計画、実行するための能力など、多岐にわたる問題です。RMCでの成果は、確実に、世界に影響を与えます。日本は、これまではほとんど受け身であり、アメリカが安全保障の傘を差し出し、日本が基地を提供する、というだけの関係でした。両国は軍事活動においてほとんど交流をしてこなかったのですが、RMCでは「実行する」ということを目指して議論を進めてきた経緯があります。

ただし最近まで、RMC対話の成果は、日本の政策や政治的な制約を反映し、途切れがちで控えめなものでした。身近に迫った脅威がなかったためです。そこにあらわれたのが中国の脅威です。中国は、日米対話を活発にする起爆剤を提供しました。そういった意味で、アメリカ側は日本が指針見直しに興味を示したことを歓迎しているのです。

もちろん、指針見直しの目的が、日米で常に合致しているわけではありません。毎度のことですが、アメリカは最も直接的で直近の脅威として、朝鮮半島の脅威に焦点を当てようとします。一方で日本側の関係者は、尖閣諸島や日本南西近海で起こりうる衝突に際してより明示的な支援を保証するように求めています。それでも、実質的な同盟協力を深めるという共通の利益は、こういった相違よりも、はるかに重要です。

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