「東アジアの脅威」、日米の認識にズレがある 日米安全保障に横たわる課題

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――自衛隊の能力をどう評価していますか。

日本はハードウェア面では多くの装備を蓄積してきました。しかし、長年の安全保障政策の影響で、情報連携や物流などに課題があり、肝心の「戦闘能力」にも懸念があります。設備性能、物流支援、相互接続性など全般で能力が不足しているといえるでしょう。

毎年、大規模な防衛予算を確保しているにも関わらず、日本は、それを驚くほど浪費してきました。きわめて非効率な調達を行っており、その点で、日本は悪名高いのです。ただし本当の意味での軍事能力の必要性が認識される中、この状況は多少、変わり始めているようです。それでも根深い慣習を変えるのは容易ではありません。

――日本は武器輸出政策を改訂しました。内在する課題をどう考えますか。

武器輸出に関する以前の政策はほぼ全ての活動を禁止するものとして解釈されていました。新たな原則では、移転を認めるという前提に変わりましたが、依然として広範囲に及ぶ条件と規制の影響下に留めています。

アメリカ関係者は新しい原則を、防衛確保のより緊密な協力関係を支援するものとして歓迎してきました。新政策は同盟を深める意味があります。また、新しい政策は日本の国家安全保障戦略を実行に移す手段なのです。目標は効果的な防衛確保と、崩れかけている日本の防衛産業基盤を救済することです。

ただし、軍事装備の自国生産を最大限にしようとする戦略は、非現実的だと証明されていると思います。世界の軍事産業に近づき、そこと連携することが重要だと思います。軍事産業だけでなく、軍事に応用できる市販製品をつくる能力を持つ日本産業界が、このセクターに参加するように促せば、経済的にも大きなメリットがあるでしょう。

軍事輸出はスウェーデンの事例を参考にするべき

――これにより、日本外交の影響力は増すと思いますか。

武器輸出は強力な外交上、安全保障政策上の手段になります。貿易を促進するだけでなく、政治的な連携を強化するために広く利用されています。しかしながら、このゲームにおける主要プレーヤーは皆気づいているように、武器輸出は両刃の剣です。武装プログラムの輸出を外交手段として使うと、乱用や腐敗を招き、意図しない拡散の危険性をもたらします。友好関係が悪化した際には、大きな危険を伴う可能性があるのです。

武器輸出国はどの国もこういった問題に直面しています。スウェーデンは、防衛輸出の新興勢力であるの日本にとって模範といえると思います。世界で「いい奴」という評価を受けています。しかし、そのスウェーデンでさえ、インドやペルシャ湾で深刻な論争に巻き込まれています。こういった事例を参考にすることで、日本政府は漸進的な方法で、より賢明に将来の防衛関連輸出を進めることができるでしょう。

ピーター・エニス 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Peter Ennis

1987年から東洋経済の特約記者として、おもに日米関係、安全保障に関する記事を執筆。現在、ニューズレター「Dispatch Japan」を発行している

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