リアルコミュニケーションがあるかどうかの差は、新人を迎え入れたときにも如実に表れます。サマリーでは「自立的・自律的に働ける人」という採用基準を設けてはいますが、新しいメンバーに仕事の手順や社内ルールを教えるには、やはりリアルコミュニケーションのほうが向いています。社会経験のない若い人を採用した場合、なおのこと丁寧に寄り添って手取り足取り教える必要があるでしょう。
「距離感」はテクノロジーでハック可能
では、上記のような課題を解決するために、リアルのよさとリモートのよさをどう融合したらいいか。
まず挙げられるのは、「距離をテクノロジーでハックする」という発想です。「物理的な距離」というハードルがあるリモートワークでも、リアルに近い温かいコミュニケーションができる環境を整えれば十分可能です。
実は、フルリモートを導入する前から、すべてオープンチャンネルの社内Slack上で質問しやすい・助けを求めやすい雰囲気をつくるよう気を配ってきました。さらに、社内Slackでのやり取りだけでは不十分な場合は、まとまった時間を割いて音声通話やZoomで話すという流れもすでに確立されています。
オフィスに出勤していたころは「社内Slackで気軽に相談→込み入ったことは直接話す」という流れだったものが、フルリモートの現在は、後段部分が音声通話やZoomに取って代わった形です。
また、社員同士で「ありがとう」「がんばれ」「がんばったね」「よかったよ」などの気持ちをリアルタイムで送り合えるピアボーナス制度「サマチップ」(AmazonポイントやiTunes/Googleポイントに変換できる社内ポイント)や、任意参加のオンライン飲み会「月末ゆる会」も、社員同士の温かなコミュニケーションの土壌になっています。
このように、距離という物理的ハードルをテクノロジーで乗り越える取り組みに加えて、リアルコミュニケーション自体の機会を増やすことも考えています。
当社では半期に1度、次の半期のキックオフとして社員が一堂に会し、部署ごとに目標を発表するという食事会を開いているのですが、いざフルリモートになって直接会わない期間が長くなってみると、実際に会って話すのはいいものだな、と素直に感じます。
そこで新たに導入したのが、隔月で他チームとの交流を図る「まぜご飯」。さらに、月に1度ほどのペースでチームメンバーが集まって一緒に働く、という試みも考えています。私が感じた「実際に会って話すのはいいものだ」というのが社員共通の実感ならば、こうした取り組みもまた社員のUX向上につながるでしょう。
リアルにはリアルのよさがあるといっても、すべてをリアルに戻す必要はありません。リモートワークという基本体制に、リアルコミュニケーションのよさをうまく取り込む。そうすることで社員同士のコミュニケーション向上と個人のパフォーマンス向上を総合できる。まさに、リンダ・グラットンが新著『リデザイン・ワーク 新しい働き方』の中で語る、「新時代の働きやすさ」が叶うのだと私は考えています。
(構成:福島結実子)
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