医師が指摘「腹筋がない人」は大腸がんに注意の訳 がんで手術をする人の腹筋は筋肉も筋膜も薄い

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前節で紹介したイングランドとスコットランドの運動と死亡率の関係を見た研究では、ジムの器具を利用した筋トレでも、自分の体重を利用した筋トレ(自重筋トレ)でも明らかな低下を認めました。がん死亡に限定して見ると、ジム筋トレと自重筋トレ両方を行っている人ではリスクの低下を認めました。しかし自分の体重を利用した運動でも、がん死亡リスクの低下傾向は認めています。何らかの運動をするだけで、がんになるリスクは10~20%低下します。

運動習慣がない人は「習慣化」のための作戦を

一般に運動というと最初に思いつくのはジョギングやジムへ入会することだと思います。しかしジョギングは毎回30分以上かかりますし、その都度着替えてランニングシューズを履かなくてはいけません。ジムで運動するには往復ジムまで移動する必要があります。ジョギングを開始しても80%以上の人は3カ月継続することができません。ジムも1年の継続率は5%以下です。長期的に継続できるようにするために、運動を始めるときは、わざわざ着替える必要がなく、運動に出かけなくてもいいように自宅での筋トレからスタートすることが重要です。

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今まで運動習慣がない人が身につけるためには、習慣化のための作戦が必要です。どんなに忙しくても1日のうちに必ず、できれば同じ時間にその行動を行うこと。心理的な抵抗があるうちは決して負荷を増やさないことです。

まずは1日2分から、腕立て伏せ1回、スクワット運動1回でもいいから行うこと。そしてその1回を毎日続けること。習慣化とは自分で意識をしなくても、その行動をとろうとする思いが浮かんでくることです。

1回の筋トレをする自分に慣れたら次は5回の筋トレをする自分に慣れていきます。この習慣化の過程を経ないで筋トレを続けても、何かやらないもっともらしい理由、今日は疲れたから、この仕事を片付けなくてはいけないから、などがあればやらないことを簡単に正当化してしまいます。

習慣化されていない行動は、いったんやめてしまうと二度と再開することはありません。1年後、5年後も筋トレしている自分を作るためには、ちょっと物足らないぐらいの回数を続けることで、初めは十分なのです。

石黒 成治 消化器外科医、ヘルスコーチ

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Seiji Ishiguro

消化器外科医、ヘルスコーチ。1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸がん外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。

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