「マイナ保険証」と「保険証」どこが違うか徹底解説 薬の管理が楽に、気になる個人情報は大丈夫?

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オンライン資格確認等システムのもともとの大きな狙いは、①失効した保険証が使われるのを防ぎ、医療機関などの過誤請求、健保組合などの未収金を減らすこと②健保組合での高額療養費の限度額適用認定証の発行作業などを減らすこと――の2つである。さらには、医療機関や薬局、患者が薬剤情報を共有することもできるようになる。

まず、オンラインによる資格確認についてだが、マイナ保険証では、顔認証付きカードリーダーで、マイナンバーカードに付属している電子証明書のデータを読み込み、オンライン資格確認等システムにその情報を送り、資格確認を行う。ここでは、マイナンバー(個人番号)そのものは使われていない。

オンラインでの資格確認は、マイナ保険証だけでなく保険証を使っても可能だ。患者が保険証で受診した場合は、医療機関等の窓口の職員がその記号・番号をシステムに入力し、確認する。オンラインで資格確認ができるという意味では、マイナ保険証と保険証の間で機能に違いはない。

患者が医療機関に行って顔認証付きカードリーダーで受付と資格確認を行う際、マイナ保険証の場合はマイナンバーカードのICチップに保存されている顔写真とカードリーダーで撮影した顔を照合する。不正使用を防ぐという意味では、顔写真のない保険証よりも明らかにマイナ保険証にメリットがある。

既存の保険証こそ個人情報に要注意

オンラインで資格確認ができるようになった背景には、保険証の記号・番号を個人単位にしたことが挙げられる。

実は、健康保険の被保険者本人の家族(被扶養者)はこれまで、保険証において固有の記号・番号はなかった。そこで、2019年5月に公布された「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」により、保険証の記号・番号を個人単位化するため、2桁の枝番を付けた。具体的には、被保険者本人の枝番は「00」。被扶養者が1人いれば、この人の枝番は「01」となる。

こうして現在は、保険証の記号・番号は個人と1対1の関係で、唯一無二のものとなっている。先の法律では、個人情報保護の観点から、保険証の記号・番号について告知を求めることに制限をかけている。本人確認のため保険証をコピーする場合は、その記号・番号はマスキングしなければならない。

マイナ保険証より保険証のほうが安全だという意見もあるが、マイナ保険証であれば顔認証付きカードリーダーで本人自らが手続きをするのに対し、保険証は医療機関の窓口付近で他人に見られることもある。コピーの際にマスキングされていなければ、その情報は他者に漏れる可能性はゼロではない。

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