覚えたいことを脳の「長期記憶」に保存するには
大前提として、人間の脳は忘れることが得意で、反対に覚えることは大の苦手です。
脳には膨大な記憶容量があると言われていますが、見聞きしたものをすべて記憶していたら、あっという間に容量オーバーになってしまいます。くわえて、脳は身体の中でも膨大なエネルギーを使い、大量の酸素を消費する器官であるため、できるだけ省エネモードで働きたがるという特性があります。そのため脳は、重要と判断したもの以外はどんどん忘れていくことで、効率よく頭を働かせたがっています。
私たちが目や耳から集めた情報は、いったん、脳の「海馬」へと送られます。
記憶は大きく「短期記憶」と「長期記憶」に分けられますが、海馬が担当するのは短期記憶。
短期記憶は、いわば、記憶の一時的な保管庫のような存在です。同時に、保管庫の管理を一任された〝記憶の調整役〟としての役割も持ち、短期記憶から消去するものと長期記憶として残すものを選別しています。海馬はタツノオトシゴを横向きにしたような形の小さな器官ですが、その役割の大きさは調整役と呼ぶにふさわしく、記憶力を上げていくためには海馬に長期記憶へとつながるルートの鍵を開けてもらう必要があるのです。
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