先ほどのエビングハウスの実験には続きがあります。最初に10個の単語を覚えて何もしなければ1時間後に半分忘れていたのが、1回復習すると7個、2回復習すると9個まで覚えていることができ、復習によって記憶の定着率が上がることが示されています。このように、大事なことはその日のうちに整理しなおすことが、記憶を定着させる重要なポイントです。
その日のうちに復習し、さらに1週間後、2週間後、3週間後、1カ月後と、定期的に何度も復習することで、記憶を定着させることができます。面倒と感じるかもしれませんが、「復習しなかった場合」と「復習した場合」の覚えている割合は歴然です。
復習しなかった場合、せっかく頭に入れた情報も忘れてしまい、記憶や記録を探らなくてはなりません。多忙なビジネスパーソンにとって、思い出すために資料をひっくり返す時間ほど無駄なことはないでしょう。効率よく勉強をしたいならば、脳科学的にも、覚えたことは「まずその日のうちに復習する」のが鉄則です。
復習するときは「真ん中」から
さらに脳の特性の1つに、学んだことの最初と最後が記憶に残りやすいということがあります。逆に言えば、真ん中のことは記憶しにくいということ。復習をする際は、真ん中からと意識的に順番を変えることで、知識をまんべんなく身につけていくことができます。
行動心理学の用語で「初頭性効果」「新近性効果」と呼ばれるものがあり、最初の記憶と最後の記憶が短期記憶として残りやすいということがわかっています。
初頭性効果というのは、いくつかの項目を提示されたとき、最初に目にした項目ほど記憶に残りやすいというもので、新近性効果は、さまざまな議論を尽くしても人は途中の経緯を忘れやすく、終盤の意見をより記憶してしまうというものです。
こと勉強に関してもこの2つはセットで働いているため、学んだことの最初と最後が記憶に残りやすいのです。つまり、復習をするときは、記憶に残りにくい真ん中から始めるのが賢いやり方です。
テキストを使った勉強でいうと、たとえば前日に1~10ページまでを勉強したなら、翌日は4ページあたりから始めれば、記憶の穴を効率よく埋められます。脳の特性をよく理解した上で、強く定着したところを伸ばすだけではなく、弱い部分を補うように埋めていくというやり方で記憶力を底上げすることができますよ。
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