未だ「イベルメクチンが効く」と考える人がいる訳 「根拠ないのになぜ?」に感染症専門家が答える

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処方薬は市販薬と違って、医師が必要だと判断した場合に出すものだ。とくに、イベルメクチンは動物実験において胎児に奇形が起こる「催奇性(さいきせい)」が認められているため、妊娠中に服用するのであれば、医師が摂取することによるリスクよりもメリットが大きいと判断した場合のみ処方される。

アメリカでは、牛や馬などに用いる動物用のイベルメクチンを自己判断で服用して入院した人がいたため、FDAは「動物用と人間用は違う。過剰摂取すると吐き気、嘔吐、下痢、低血圧(血圧低下)、アレルギー、めまい、けいれん、昏睡(こんすい)、さらには死に至ることもある」 と注意を呼びかけた。ツイッターでも「あなたは馬じゃない、牛でもない、本当にやめてください」とつぶやいて話題となったこともある。

FDAのTwitter
FDAのTwitterより「あなたは馬じゃない、牛でもない、本当にやめてください」

日本では医師の診察のうえ、本来の用途であれば健康保険が適用されてイベルメクチンが処方される。だが、適応外であればそれはできない。そのため、医師から自由診療(保険適用外)で処方してもらったり、個人輸入のサイトで販売されているものを購入したりしているようだ。実際、調べてみるとイベルメクチンを扱っているネット通販は少なくない。

イベルメクチンの安全性はどうか

だが、そうして手にしたイベルメクチンの安全性はどうなのだろうか。

「ネット通販の場合は、本物のイベルメクチンかどうかわかりません。保証はありませんから、完全に自己責任で服用することになります。新型コロナに効かないイベルメクチンを、そんなリスクを背負って飲む必要はあるのでしょうか。私はないと思います」(岩田さん)

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