2006年がんで逝った男が遺した言葉に見えた情景 家族の懊悩と真贋と時代の空気が今にも残る

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「ふっらふらおぢぃ~(* ̄(エ) ̄*)」の最終投稿(筆者撮影)
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故人が残したブログやSNSページ。生前に残された最後の投稿に遺族や知人、ファンが“墓参り”して何年も追悼する。なかには数万件のコメントが書き込まれている例もある。ただ、残された側からすると、故人のサイトは戸惑いの対象になることもある。
故人のサイトとどう向き合うのが正解なのか? 簡単には答えが出せない問題だが、先人の事例から何かをつかむことはできるだろう。具体的な事例を紹介しながら追っていく連載の第22回。

16年前の最終投稿に残る後悔

<こんにちわ・・・
ハリスの妻です・・・
なぜ私が 主人のブログを 更新しているかと言いますと
先日 4月20日午前1時48分 すい臓癌の為 他界いたしました。
23日に葬儀を済ませ やっと落ち着いたところです。
この間入院した時に 癌が 発見され 既に手遅れでした。
その時に 余命半年と 言われたのですが
なんせ仕事人間でしたので 寝ずに仕事をして無理をしてました。
私は 手伝うこともできませんでした。
今月に入っても忙しく 無理しないでね・・・としか言えなかった。
本人には 胃潰瘍と言ってしまったのが いけなかったのでしょうか・・・>
(2006年4月25日「みなさんありがとうございました。」)

「ふっらふらおぢぃ~(* ̄(エ) ̄*)」(https://ameblo.jp/utippayosimune777/)というサイトがある。家電開発に関わる仕事に従事しているハリスさんが、趣味のパチスロ(パチンコ型スロットマシン)のことを中心につづっていたブログだ。

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ブログは開設からわずか5カ月で上記のように唐突に終わりを迎えている。「ハリスの妻」さんの筆により、それまでの病状が明かされると同時に、ハリスさんが本当の病名を知らないまま仕事に打ち込んでいた様子も伝わってくる。加えて、本人に別の病名を伝えてしまった書き手の後ろめたさも──。

訃報に悲しむコメントのなかには真贋を疑う書き込みも紛れていたが、それがコメント欄の空気を乱さないくらいには死の事実に説得力があった。この説得力の具合を知るにはハリスさんの人柄を理解するとともに、2006年当時の社会の空気感を振り返る必要がある。

なお、ブログ記事の引用は行間のみ割愛している。

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