2006年がんで逝った男が遺した言葉に見えた情景家族の懊悩と真贋と時代の空気が今にも残る

古田雄介 : フリーランスライター

2022/11/16 10:00

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＜で・・・昨日・・・・検査結果・・・・・
（〟・∀・）ﾉ（・（ェ）・*）。。oO
（〟・∀・）ﾉ＜おおっきいの出来てましたね
o（ ´゜（Д）゜）・・・・
o（ ´゜（Д）゜）＜もしかして・・・・
o（ ´゜（Д）゜）＜家族呼んでください・・・ですか？
（〟・∀・）ﾉ＜べつにいいですよ
（〟・∀・）ﾉ＜でっかい・・・潰瘍ですから
o（ ´゜（Д）゜）＜かいよぉ？
（〟・∀・）ﾉ＜仕事もほどほどにね
o（ ´゜（Д）゜）＜ストレスってことでつか？
（〟・∀・）ﾉ＜お酒煙草も控えめにね
o（ ´゜（Д）゜）・・・スロが原因・・・・・？
・・・・だったみたいです・・・・・（￣（ェ）￣；）ゞ＞
（同）

ハリスさんはこう書いているが、冒頭で引いたように、このとき医師はすでに家族に余命半年の膵臓がんだと告げていたようだ。少なくとも、それから開腹手術や放射線治療、抗がん剤治療などを行った形跡はブログからは読み取れない。

「検査入院」を終えて復帰したハリスさんは、たまった仕事をこなすために2日連続で徹夜するなど、職場に泊まり込みの生活を続けることになる。再び大好きなパチスロに興じることができたのは3月も半分が過ぎてからだった。

4月に会社で倒れて帰らぬ人に

ようやく仕事の波が落ち着いたかに思えた4月初旬に、再び大量の仕事が舞い込む。

＜も～！！なんで仕事一気に言ってくるの！！
（゜◇゜）くわ
更新さぼってたわけじゃないんです・・・・
またもや仕事地獄に突入！！
（。；（ェ）；）
ですから・・・・来週いっぱいまでは以前のような
飛び飛び更新になってしまいます・・・（￣（ェ）￣；）ゞ＞
（2006年4月7日「グスン (ノ(ェ)'。)」）

これがハリスさんによる最後の投稿となる。最後の痕跡はその3日後。4月10日21時過ぎにコメント欄で、複数の書き込みにまとめて返信する内容だった。多忙を極めて疲れた様子だったが、この時点では深刻な事態は読み取れない。

しかし、おそらくはそれから24時間と経たないうちに職場で気を失って救急搬送されている。4日後に意識を取り戻したとき、妻にブログの存在を打ち明けて読者のことを気にしていたそうだ。容態は次第に悪化していき、再び意識を失うと4月20日に帰らぬ人となった。

葬儀を済ませ、「ハリスの妻」さんがここまでの経緯をブログにアップしたのは25日のことだ。記事冒頭でも一部紹介したが改めて全文を引用したい。