音が快感「暴力ゴリラの脱走」をゲームにした凄み 英国アカデミー賞を受賞した異色作「Ape Out」

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「Ape Out」のタイトル画面
「ゴリラ」と「ジャズ」が融合した「Ape Out」の魅力に迫ります(画像は任天堂公式サイトより)
「テレビゲーム」は子どもがやるものと思われがちですが、書籍や映画ともまた違う独自のシリアスな、あるいはユニークな作品が多数あります。その魅力は奥深く、大人の趣味として楽しめるほどに成熟しているといっても過言ではありません。
そこで、この連載では、ゲームの評論やコラムを10年以上書き続けているゲームライター、いわばゲームを遊ぶプロである渡邉卓也氏が、ゲーマーからは人気でも一般的にはあまり知られていないであろう著名な作品や傑作を紹介します。
第20回は、ゴリラがおりから飛び出すゲーム『Ape Out(エイプアウト)』を取り上げます。

画面の中のキャラクターと一体化したような快感

テレビゲームはたいていコントローラーを持って画面のなかのキャラクターを動かすわけですが、優れた作品はこれらが一体化したかのように感じられるケースがあります。

例えば、敵を攻撃して倒したときに何も効果音が鳴らないと物足りませんが、「バシッ」と音が鳴れば気持ちよさすら感じられるのです。

昨今流行りの『スプラトゥーン3』も水鉄砲のようなブキを撃つ独特の音が用意されているうえ、相手を倒すとインクが破裂するような演出があって心地よい。こういった操作した結果に伴う表現があると、「自分がゲームのなかのものをきちんと動かしている」という実感が湧いてきます。

今回紹介する『エイプアウト』は、まさにそれを突き詰めたかのような作品です。プレーヤーが操作するのは、おりから脱出したゴリラで、敵はそれを止めようとする人間。ゴリラが逃げるために暴力を振るうのですが、それが快感になってくるようなゲームなのです。

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