音が快感「暴力ゴリラの脱走」をゲームにした凄み 英国アカデミー賞を受賞した異色作「Ape Out」

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『エイプアウト』を制作したのは、インディーゲーム(独立した個人や小規模チームが制作するゲーム)開発者であるGabe Cuzzillo(ゲイブ・クジーロ)氏。なお、本作はイギリスアカデミー賞のAudio Achievementを受賞しています。

プレーヤーはゴリラを操作し、人間たちからの逃走を試みます。人間は銃や火炎放射器でこちらを殺そうとしてくるので、暴力をもって応戦していくことになります。

「Ape Out」のプレー画面
襲ってくる人間たちを倒していきます(画像は任天堂公式サイトより)

人間を倒すほど、リズミカルなジャズが作られる

単純に人間を殴って吹き飛ばす、あるいは盾にして銃を防ぐなんて行動ができるのですが、大事なのは“音”です。本作ではBGMとしてドラム音が鳴り響いており、人間を倒すとシンバルが響き渡る。そして人間を倒せば倒すほど、リズミカルなジャズが作られていくのです。

人間たちを倒す暴力的なゲームではあるのですが、しかしこの操作に伴ってジャズが作り出されていくのが気持ちいい。血みどろの戦いのはずなのに、人間を殴れば殴るほどノリノリになっていきます。ゴリラや人間はあくまでシルエットでの描写なので、バイオレンスながらも音楽に集中できるわけです。

『エイプアウト』はプレーするたびにステージ構成が変化します。ふつうのアクションゲームであればステージの作りが変わって戦略が変化するわけですが、本作において変化するのはその場で作られる音楽です。

次ページアクションゲームとしては、わりと大味
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