この食事改善に組み合わせるのが、運動だ。運動の目的は2つ。1つは「血糖値を上げにくくすること」、もう1つは「筋肉を付けること」だ。減量を目的としないのは、運動だけで減量できるほどのカロリーを消費するのは難しく、体重を落とすのは至難の業だからだ。
血糖値を上げにくくするための最適な運動は、有酸素運動。散歩程度でいいので、30分ほど歩く。お勧めは、食後30分~1時間経ってからの散歩だ。
「有酸素運動をすることで、インスリンとは別の仕組みで血液中のブドウ糖が筋肉に取り込まれます。つまり、インスリンの働きとは関係なく血糖値を下げてくれる、あるいは上げにくくしてくれるのです」(植木さん)
その筋肉を作る運動が筋トレだ。ジムや自宅でスクワットなどの筋トレをしてもいいが、散歩中でもできることがあると植木さん。
「階段を使う、きつめの坂を上るとか、です。その程度でも太ももに負荷がかかるので、筋トレにはなります」
やせている人はどう対策をするべきか
続いて、やせていて高血糖を指摘されている人はどうか。
「肥満の人と同じく、3食きっちり食べたうえで間食をしないということを徹底してほしい。インスリンが出にくい遺伝的素因を持っている人が多いので、食後の運動で血糖を上げないようにすることも効果的です。また、太らないように気をつけることも重要です」
やせていて高血糖を指摘されるのは、男性よりも女性のほうが多いそうだ。
そもそも女性は閉経を迎えるまで、エストロゲンという女性ホルモンの働きで、血糖値が上がりにくいものの、男性より筋肉量が少ないため、ブドウ糖を処理しにくい状態であるといえる。結果的に、食後の高血糖が起こっている場合が案外少なくないという。
「食後の血糖値やインスリンの状態を見るブドウ糖負荷試験をすると、血糖値がけっこう高く出る女性がいます。ご飯を食べないでお菓子ばかり食べている人は、油断していると糖尿病を発症してしまうリスクがあるので、気を付けたほうがいいでしょう」(植木さん)
このタイプの場合、食事以上に大事に考えたいのは運動だ。有酸素運動と筋トレを組み合わせて、ブドウ糖が処理されやすい体を作っていく。運動のやり方は先に紹介した方法でOKだという。
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