逆境の「ポーラ」が挑む、愚直な"らしさ追求"の中身 業績低迷の中、初の女性社長がしていること

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ポーラの主力製品「B.A」
ポーラの主力製品である「B.A」(写真:今井康一)
企業を取り巻く環境が激変する中、経営の大きなよりどころとなるのが、その企業の個性や独自性といった、いわゆる「らしさ」です。ただ、その企業の「らしさ」は感覚的に養われていることが多く、実は社員でも言葉にして説明するのが難しいケースがあります。
いったい「らしさ」とは何なのか、それをどうやって担保しているのか。ブランドビジネスに精通するジャーナリストの川島蓉子さんが迫る連載の第6回は、老舗化粧品メーカーの「ポーラ」に迫ります。
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コロナ禍で業績は低迷、ポーラはどこへ向かう?

ポーラは日本の老舗化粧品メーカーの1つであり、エイジングケアブランドの「B.A」をはじめ、シワを改善するコスメとしてロングセラーになっている「リンクルショット」シリーズなどを展開している。

2020年にポーラ初の女性社長となった及川美紀さんとは以前からご縁を得てきたが、誰に対しても平易で開放的、ユーモアのセンスを備えている。バリバリのキャリアウーマン的なアツを感じるところがなく、社員や社会のことを深く温かくとらえている。チャーミングなキャラクターにひかれてきた。

一方、コロナ禍の影響もあり、業績は決してよくはない。ポーラ・オルビスホールディングスにおける、ポーラブランドの2021年12月期営業利益は163億円と、直近のピークである2018年12月期の325億円から半減。足元の2022年1~9月期の営業利益も85億円と前年同期比で22%減となった。マスクの常用によってメイクする行為が少なくなっているし、インバウンド需要の減少など、負の要因がのしかかっている。

そんな中にあって及川さんは、どこに力点を置いて会社を率いているのか。歴史あるポーラという企業のDNAを、未来に向けてどう開かせようとしているのか。女性の活躍についてどうとらえているのかなど、普段から聞きたかったことを話してもらった。

ポーラの及川美紀社長
及川美紀(おいかわ・みき)/1991年東京女子大学文理学部英米文学科卒業後、ポーラ化粧品本舗(現株式会社ポーラ)入社。 美容教育、営業推進業務、2009年より同社商品企画部長を経て2012年執行役員、2014年取締役に就任。2020年1月より現職(写真:今井康一)

その前に、そもそもポーラはどういう会社なのか。

1929年、化学者でもあった創業者が、手が荒れている妻のためにと、独学でハンドクリームを作ったことが創業のきっかけだ。多くの人にそれを使ってもらおうと、1931年に「ポーラ化粧品本舗」が誕生した。商売ありきでなく、人が人に愛情を手向けるところに事業の起点がある――“ポーラらしさ”のルーツでもある。

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