ただウィルを持つこと、それを実行に移していくのは容易ではない。具体的に何をやっているのか。
新規事業企画室を作って、新しい事業の種を作る活動を行っているのに加え、人事部が「尖れ、つながれ」というメッセージを掲げ、新規事業企画室と連携して、各人のウィルを語り合うことで社員のつながりや触発を広げる「テーブルトーク」という会合や、社外の人と交流する「他業会」といったものを、継続的に行っているという。
また、社員各自の業務目標については、全体の2割を中長期変革目標とし、「3年かけて自分はこうしたい、こうなりたい」とウィルを掲げてもらい、そこをオープンにしている。同じような目標を掲げている社員が、つながって一緒にやっていこうといった機運も生まれているという。
コロナ禍で直面した高いハードル
コロナ禍を契機に、人と人のつながり方は変化を余儀なくされた。ポーラにとって、それは高いハードルでもあった。
「インバウンドがなくなったとか、コロナ禍で人が外に出られなくなったとか、新型コロナに感染してお店が開けないとか、物理的な課題はいろいろありますが、それを超えて新しいことに挑戦していくことによって、頑張る人が増える、あるいは違う打開策が見えます。
1つは苦手だと思っていたオンラインに、これほどまでにビジネスパートナーが取り組んでくれて、オンラインでのショップビジネスというものに頑張って取り組んでくれました」(及川さん)
ポーラはそもそも、人が人に向ける愛情やつながりを“らしさ”の基軸に置いてきた。コロナ禍でオンライン接客を始めたが、現場で即座に理解と実行が進んだわけではなかった。長年にわたって、顧客とのリアルなつながりを育んできたビジネスパートナーである「ビューティーディレクター」の中には、不安を感じる人もいたという。
「今までリアルな世界でやってきた人たちに、オンラインを活用しましょうといっても時間はかかる。ビジネスパートナーの中にはスマホすら今ひとつちゃんと扱ったことがないみたいな方もいらっしゃいますし、ECを強化するっていうと、個人事業主として契約しているビジネスパートナーたちのお客様を奪う可能性もあります。
ただ、お客様って、自分のお客様だと思っても、もしかしたら他社で買うかもしれないし、ECで買うかもしれない。だったら、ポーラのECでもつながって、リアルにもいつでも戻ってこられるようにしておいたほうがいいじゃないか、というところを、ビジネスパートナーがしっかり向きあってちゃんとやってくれています」(及川さん)
そのときのカギになるものは何か。
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