「『or』ではなく、『&』が大事。オンラインかリアルかではなく、オンラインもリアルも、なんですよ。今までは『うちの提供価値はこれです』と規定して『これが好きな人集まれ』だったんですが、これからはお客様が『今日はリアルがいい』『今はオンラインがいい』とか、主体者が能動的に選んでいく時代になる。お客様のそのときの気持ちに合わせて、柔軟に対応や姿勢を変えていくことのほうが重要」(及川さん)
“二者択一的思考”ではなく“包括的な思考”、つまりオフラインからオンラインへの転換というより、オフラインもオンラインも必要であり大事という価値観を訴えたのだ。
「これからはブランドの個性、お店の個性、販売員の個性で選ばれる時代になっていきます。商品はどこでも買えるけれど、『私のことを考えて理解してくれるあの人から買いたい』と思われれば、それは最強の武器になると思うのです」(及川さん)
リアルもオンラインも強化する
容易なことではないが、人とのつながりや愛情を土台に置いてきた企業だからこそ、可能性を秘めている。
「『ポーラさんはリアルが強いですよね、じゃあリアル強化するんですか』って、もちろんします。でも、同じようにオンラインも強化して、そのときのお客様のマインドに寄り添う。その人にとっての最適、ベストをつねに提案するっていう目の前を助けたいっていう、その最初の企業理念、あるいは創業の心みたいなところにある、一人の人のそのQOL(生活の質)を上げるために大切にすべきことは何かっていうところは、一生変わらない」(及川さん)
女性がキャリアアップしていく過程では、男性的な能力を満たすことが求められ、そこを理解できなかったり、同調できなかったりというところで、悩む女性は少なくない。あるいは、思い切って女性の部下にマネジメントを任せようとしたら、「私には無理です」と断られ、困ってしまったというエピソードも耳にする。
いずれも男女の価値観の違いに由来するものなのだが、それを、どちらかを選ぶという選択肢でなく、どちらもありという多様化の軸でとらえると、物事は少しスムーズに進むのではないか。
それにしても、日本企業で女性が社長になっているケースが少ないのは、どこに理由があるのだろうか。
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