逆境の「ポーラ」が挑む、愚直な"らしさ追求"の中身 業績低迷の中、初の女性社長がしていること

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そう口にしたところ、「伝えるのが下手なところが、うちの会社の不器用さでもあります。ただ、人とつながってさまざまな価値観を尊重しながら、自らの足で進むことを、社員が実践し始めているのです」と熱い言葉が返ってきた。

2015年に作られたこのバリューについては、プロジェクトリーダーとして深くかかわった。「さまざまな角度から検証した結果、『Science. Art. Love.』の3つのワードは、どれが欠けてもポーラではないという結論にいたったのです」。

ブランディングとは、言葉を作って終わりでない。かっこいい文言とキービジュアルを社内外に向けて発表する、社員に「ブランドブック」を配布する、朝礼で文言を読み上げそらんじる――そういったケースなどを見かけるが、いずれも意図するところとズレている。

本来的なブランディングとは、社員が「会社の目指す方向」を理解し、日々の行動に表れていく。周囲がそれを認めることで、企業の「らしさ」が醸成されていく。そこに真意があると思う。

言葉を定義するのは「反対」のワケ

及川さんは、ここを理解して実行してきた。

「社員からは、改めて3つの言葉を定義しましょうと言われるのですが、私は反対です」(及川さん)

定義することでわかった気になり、止まってしまうからだという。「自分なりに消化していれば、必ずそれが行動に発露するはず。私が『Science. Art. Love.』について話すとき、『私はこう考えるけど、皆さんはどう考えますか?』と言うようにしています」(及川さん)。一人ひとりが考えること、行動することを重視しているのだ。

及川さんが社長になってから立ち上げたプロジェクトの1つに、「ポーラ幸せ研究所」がある。どういったものなのか。

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