首相が42歳の英国に程遠い「おじさん日本」の絶望 「人生100年時代」を言い訳にせず世代交代を

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項目別では「企業経営の俊敏性」「国際経験」「ビックデータの分析・活用」は最下位の63位、「海外人材受け入れ」「デジタル・スキル」も最下位近辺です。この結果をみると、日本経済全体がおじさん文化そのものに浸食されてしまった感があります。

日本経済低迷の背景には、時代遅れのおじさん文化という土台があり、その土台自体を変えなければ、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進などの様々な施策を積み上げても成果はあがりません。

意思決定の中枢からおじさんを駆逐すべきだ

日本ほど、おじさんたちが「あらゆるレベルの意思決定ポスト」を牛耳り、国や経済をおじさん中心の論理で動かしている国はありません。今必要なことは、この「意思決定の中枢」からおじさん文化を駆逐することです。

まず、企業では「ポストオフ制度」の厳格適用が必須です。ポストオフ制度とは、ある年齢で組織(部や本部)の長から外れる制度です。今は「55歳」が主流ですが、今後は、最終的に「50歳」とすることも必要でしょう。さらに、社長や会長などの企業トップにも少なくとも「65歳」くらいで退いて頂くべきです。

部課長クラスが若返っても、その上の役員やトップが変わらなければ、企業全体は変わりません。

20年程前、「日米財界人会議」という日米双方の有力企業トップが参加する会議に携わりましたが、アメリカ側スタッフから「日本側は毎年同じ顔ぶれのおじいさんばかり」と、よく揶揄されました。

確かに、日本側トップが平均60歳代後半だったのに比べ、アメリカ側は50歳代が中心でした。残念ながら、年々、アメリカ側の「代理出席」が増え、一方で日本企業の国際的な存在感は低下していきました。

アメリカは、年齢による雇用差別を厳格に禁じており、一部の職種(パイロットや消防士など)を除き定年はありません。しかし、変わりゆく時代の潮流を前広かつ的確に捉え、その変化に迅速かつ適切に対処していく為に、アメリカ企業では「自然」と経営陣の世代交代が進みます。

日本企業もこれを見習うべきですが、「自然」と世代交代が進むようになるまで、ある程度の「強制力」が必要です。

民意を受けて国家の「意思決定」を行っている国会議員も同様です。自由民主党は「参議院比例選の公認は、任期満了時に原則として70歳未満」との内規を設けていますが、今年の参議院選挙では「特例扱い」が続出しました。

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