注目を集めるために有効な「話し方」――それは、「黙る」ことです。
リーダーにとって、「話す力」や「聞く力」はもちろん大切ですが、それと同じくらい重要なのが、沈黙を使いこなすことです。
先ほどご紹介した、疑問形を使って聞き手の注目を集める例をもう一度見てみましょう。
「『4人に1人』。今回の調査で出たこの数字は何を示しているでしょう?」
このように問いかけたら、そのあと3秒黙ります。相手が答えを考えるための時間を、「間」をとって待つのです。3秒程度であれば、考える時間として、聞き手も自然に受けとめます。では、その沈黙の「間(ま)」がさらに伸びていった場合は、どうなるでしょうか?
5秒、7秒、10秒……。
(どうしたんだ?)(何かあったのか?)(話す内容を忘れてしまったのか?)
聞いている側は、だんだん気持ちが落ち着かなくなってきます。やがて、「何かあった?」「どうしたの?」など、ひそひそと話す声が周囲からも上がり始めるかもしれません。
メモをとる、あるいは資料を見るなどしていて話し手に注目していなかった人、表向きは話を聞くふりをしながら実際は上の空で話を聞いていなかった人……そんな人たちも、沈黙時間が長くなると、やがて状況の異変に気づいて目線を上げます。俄然、話し手に注目が集まります。その瞬間を捉えて、次の一声を出すのです。
意識的に黙ることで一度自分に注目を集める
意識的に黙り、わざと長い時間、沈黙を挟む。
一度自分に注目を集めてから、ここぞという重要な話に切り込むのです。
レトリカル・クエスチョンを用いるときも、問いかけた後に、必ず一度沈黙しましょう。相手の中にメッセージを浸透させる時間です。新庄剛志監督も、しっかりと間をとっています。
「暴れても良いですか?」
(3秒の間)
「感動させても良いですか?」
(3秒の間)
「泣き笑いさせても良いですか?」
(3秒の間)
それぞれの疑問形の後に「間」をとっています。聴衆はこのあいだに拍手をしたり歓声をあげたりして反応しています。問いかけに「間」の効果が加わり、ファンは大いに盛り上がりました。
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