一方では、「全然違うところ、合わないところもたくさんあるんですよ」と萌子さん。
「たとえば、言葉に対する感覚です。アスリートとして一途に生きてきた彼は、多少、言葉に無頓着なところがあるんですよね。たとえば、『嫌味』と『皮肉』は似て非なる意味合いがありますけど、彼の中では一緒なんです」
つまり、言葉には至極、敏感な萌子さんとは、真逆ということ?
「そうですね。先日もマウンテンバイク関係の仲間たちと一緒に過ごしていたら、彼が年上の仲間に対してちょっと失礼な物言いをしていたんですよね。『◯◯さんは皮肉じゃないよね』と。彼に『どういう意味?』って聞いたら、真意は全然違っていて、『◯◯さんはこの中で1番年上なのにみんなに威張らず謙虚でフランクで素敵です』って伝えたかったんだなとわかって」
コミュニケーションには人一倍こだわる彼女が、そうしてサポートするのには意外感もある。
「言葉は私にとって大切なものですけど、単なるツールです。いちばん大切なのは、言葉の奥にある心だから。彼は心ある人だから、言葉の表現については、私が理解してサポートできればいいかなと」
続けてきたロードバイクをきっかけに出会う
パートナー・井手川さんと出会ったのは、昨年、富士山をロードバイクで登ったときのこと。
萌子さんは、20代後半からロードバイクにのめり込んでいたものの、一度、大ケガを経験。長いリハビリと恐怖心を乗り越えて、再びロードバイクをライフスタイルにしていた。
「私はロードバイクに乗る事を諦めなかったから、あの日も富士山を走りに行きました。彼はマウンテンバイクの選手だから、普段はロードバイクに乗らないんです。でもコロナで山も閉鎖され、レースもなくなり、仲間に勧められてロードバイクに乗り始めた。どちらかがバイクに乗っていなかった可能性は十分にあったわけで。そう考えると、ご縁って不思議ですね」
それまで、まったく異なる道を歩んできた2人は、きっと必要なタイミングで出会えたのだろう。
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