平気で「ジャム」を買う人が知らない超残念な真実 添加物による「増量・置き換え」が…驚きの実態

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ここで述べたのはあくまで「市販の安いジャムのつくり方」の一例です。

もちろん添加物をまったく使わないでつくっているメーカーもあるし、まったくといわずとも、なるべく添加物が少ないものを販売しているメーカーもあります

でも、「安価なジャム」になればなるほど、往々にして、こういう添加物による「置き換え、増量」がなされているのです。

ジャムは「添加物による増量・置き換え」のいい見本

つまり、下記のように、いろいろな食品の中でも、ジャムは「添加物による増量・置き換え」のいい見本だということです。

商品についている「裏ラベル」を見ても、「安いジャム」に限って、冒頭に「イチゴ」ではなく「糖類」など「イチゴ以外のもの」が来ていることが多々あります。

「手づくりジャム」の原材料
イチゴ、グラニュー糖、レモン汁

「安いジャム」の原材料

糖類(水飴、砂糖、ブドウ糖)イチゴ
ゲル化剤(ペクチン)、酸味料、pH
調整剤、増粘多糖類、香料

「手づくりジャム」にすると、「イチゴ」をたくさん使わないといけなくなりますが、イチゴは高い、砂糖も高い、だから「安い材料」にどんどん置き換えていくのです。

それによって「失われる風味や働き」は「添加物」でひとつひとつ補い、「それらしい味」につくり上げていくのです。

イチゴや砂糖を減らした分、「ジャム本来の性質」をどんどん添加物」で補う
【固さ】……………「ゲル化剤(ペクチン)」で「固さ」を与える
【とろみ】…………「増粘多糖類」で「とろみ」と「なめらかさ」を増す
【酸味】……………「酸味料(クエン酸」で「酸味」を増す
【保存性】…………「pH調整剤」で「保存性」を高める
【イチゴの香り】…「イチゴ香料」で「イチゴらしい香り」をつくり出す


 逆に言えば、「安価なジャム」はラクです。安く、早くつくれるからです。煮詰める必要がないから、機械であっという間に出来上がります

『食品の裏側2 実態編』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

それを考えると「安き」に流れずに、昔ながらの製法でつくっているメーカーは立派だと思います。

「安いジャム」と「昔ながらの製法のジャム」は、いうまでもなく、味がまったく違います

私は甘いものもパンも好んで食べたいとは思いませんが、イチゴをコトコト煮てつくった「本物のジャム」は、実においしいものだなと思います。

みなさんも、ぜひ「本当においしいジャム」を食べてみてください。

「添加物による『増量・置き換え』の見本食品」ともいえる「安価なジャム」には、もう戻りたくなくなるはずです。

そして、「市販のジャム」をきっかけに、「値段」だけを見て「安さ」ばかりを求めることが、結局「見えない裏側」で「何を失うことになるのか」、それを考える契機になることを願ってやみません。

安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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