友達は、「すごいな、西岡はなんでそんなにわかりやすく説明できるの?」と聞いてきました。そう聞かれて自分の中で考えてみると、気づいたのは、自分はもともと「できない側」の人間だから、「できない」人の側に立って話すことができるのかもしれない、ということでした。
「ひょっとしたら、僕は思い違いをしていたのかもしれない」「別に僕自身がすごい勉強法を考えるんじゃなくて、こんなに頭のいい人たちがいっぱいいるのだから、その人たちのアイデアや考え方をもっと一般の人にも伝わりやすい形に直すことが、僕の仕事なんじゃないか」と。
そう考えたときに思い出したのは、2浪が決まったときの経験でした。「今までの自己流のやり方では、また不合格になるだけだ」と考え、合格した友達や東大生の知り合いに「後生だから、ノートを見せてください」「恥を忍んで聞くけど、どうやって勉強してる?」と聞きまくったのです。
「自分のやり方」をやめて、そこで聞いたやり方を試して、自分の成績を上げることができ、東大に合格できたのです。
「ベストセラーの執筆」も同じ発想から
この発想の延長線上で、僕は『東大読書』という書籍を書きました。今までの「僕のやり方」を語るだけのものではなく、多くの東大生への取材を通して「東大生がどんなふうに本を読んでいるのか」を調べ、そのやり方を僕の東大受験と照らし合わせながら解説した本だったのですが、これがありがたいことに20万部のヒットになりました。
1人の東大生のやり方ではなく、多くの頭のいい人のやり方を、「できない側」だった人間が語るという点において、多くの人に参考になる情報を提供できたのだと感じます。
その後、僕はドラマ化もした漫画『ドラゴン桜』の勉強法を考える仕事をさせていただくことになりました。多くの東大生へ取材をして、「東大生はこんな勉強法を実践している」「だから、こんなふうに勉強したら成績が上がるんじゃないか」というやり方を、漫画家の三田紀房先生に伝えたわけです。これも、「僕のやり方」だけだったのであれば、あまり意味がなかったのではないかなと思います。
そして今、僕が何をやっているかというと、東大生たちと一緒に学校でワークショップを企画・実施する会社を経営しています。英語や国語などの学習指導はもちろんのこと、モチベーションの上げ方や予習・復習のやり方、ノートの取り方など、「勉強のやり方そのもの」を指導するコンテンツを、多くの東大生と一緒に作っています。
でもこれは、僕が作っているというわけではありません。コンテンツ自体は、優秀な東大生たちが作ってくれています。僕の仕事はそれを編集して、「こうしたほうが伝わるかも!」「この考え方を、こういうワークをやって伝えよう!」と伝わる形にすることだけです。
そんなワークショップもおかげさまで好評をいただいており、中高生相手に年間100回以上実施して、多くの学校さん・生徒さんから「わかりやすい!」と言っていただいています。
僕が自分のやり方を解説するだけのワークショップであれば、こんなことは不可能だったでしょう。多くの東大生のやり方を集約して編集しているから、意味のあるものになっているのだと思います。
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