「奨学金620万円」33歳彼が就活で見た貧富の連鎖 家が金持ちな人ほど経験を積み、いい会社に入る

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実際、退職金がなくても1500万円もの資産があるので、一括返済できるほどの貯蓄はあったという。ただ、それは心の余裕のために使わなかったそうだ。

「奨学金を一括返済した時期は仕事面でも給料が増え始めていて、『これなら奨学金を返しても生活に余裕はあるな』と精神的な余裕があった頃。昔は考えられなかったのですが『ボーナスも全額使っちゃおう!』と思っていたほどでした。精神の安定とお金の余裕は比例すると実感しましたね。奨学金があるから心が荒むわけではないのですが、『借金がある』と思うと、やっぱり落ち着かないんですよね」

就職でさまざまなことに気づく

今では心の余裕も生まれ、LINEも再開し、結婚もして子どもも生まれた。高校時代に奨学金を借りてまで、大卒の資格を取得したいという、小原さんの選択は間違っていなかったと思えるが、本人はどのように受け止めているのだろうか?

「奨学金を借りてよかったとは思いますし、奨学金制度自体には賛成です。ただ一方で、かなりギャンブル要素が強い気もしますよね」

そんなふうに考えるのは、会社で働くなかで感じた出来事が背景にある。

「就職して驚いたのが、自分の同期には奨学金を借りている人が、自分以外に1人もいなかったということ。20人もいるのでもう1人ぐらいいてもいいはずなのに……そこで思ったのは『ある程度の会社の社員は、親が裕福な人ばかり』ということです。

また、自分が勤めている会社よりも大手の会社に行くと、さらに裕福な感じの坊ちゃんが多くて。奨学金を借りないどころか、結構な人が海外留学とかしてるんです。『就活には目に見えない線引きがあるんだな』『どんな親かも、就活に影響してくるんだな』と思った瞬間でした。

ただ、そこで不貞腐れてしまうと、『ある程度』の会社に入れずに、ピラミッドの下層のほうの会社を行き来するという、負のスパイラルに陥ってしまうので気をつけるべきです。多重下請けがよくニュースになっていますが、情報系の会社というのは実際ピラミッド構造になっていて、下段に行くにつれて給料は安くなり、仕事内容も単純になっていく傾向があります。職場の環境も悪く、怒鳴っている人や清潔感のない人が多い、不健康な現場がたくさんあるのが現実なんです」

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