「奨学金620万円」33歳彼が就活で見た貧富の連鎖 家が金持ちな人ほど経験を積み、いい会社に入る

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危機感を持って将来のビジョンを描くべき

だからこそ、小原さんは「学生時代は就職に力を入れるべき」と持論を展開する。

「自分自身の適性を徹底的に分析して、就活という人生で最も頑張らなければいけない時期には、真剣に活動したほうがいいと思います。僕はモラトリアムで大学時代を過ごしてしまったため、就活でそうとう苦労しました。

就活自体は頑張ったのですが、お金がなくてサークル活動すらしてこなかった結果、面接で武器になるエピソードが全然なかったんです。だけど、内定を競う人たちは家がお金持ちで、生活に余裕があるので『経験』を積むことができている。

また、僕の場合、リーマンショックで就活自体が厳しい時期だったというのもあるのですが、実家に余裕がある人は、就職がうまくいかなくても大学院に進んで2年間猶予期間を設けたり、就職浪人することができていました。しかし、実家の太くない自分は背水の陣で、覚悟を決めて就活に取り組むしかなかった。

奨学金を借りていると、今の生活や将来への不安ゆえ、バイト漬けの生活になりがちだと思います。だからこそ、大学1〜2年生のときから、危機感を持って将来、自分自身がどういった人間になりたいのかを意識しておくことが大事だと思います。そして、そのうえで奨学金を借りるのであれば、ちゃんと将来返せるビジョンも描いておいたほうがいいですね。

特に今は、経済状態がリーマンショック前と非常に酷似していると感じます。そういう意味でも、奨学金を借りている人はしっかり将来のビジョンまで考えてほしいです」

奨学金借りたら人生こうなった
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地元から脱出するために大卒資格が欲しいという思いから、奨学金を借りて安定した今の生活を手にすることができた小原さん。

しかし、彼のようにストイックに生きすぎると、就活では「人間味がない」と判断され、面白がられないのかもしれない。

経験を積むにはお金がかかるのは事実だ。だからこそ、奨学金を借りた人ほど、勉強やバイトだけではなく、しっかりと「大学生活」を経験することも大事なのだと感じる。

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。奨学金を借りている/給付を受けている最中の、現役の学生の方からの応募も歓迎します。
千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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