「奨学金620万円」33歳彼が就活で見た貧富の連鎖 家が金持ちな人ほど経験を積み、いい会社に入る

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「そのため、兄は奨学金を借りて大学に進学しました。だから、弟の自分にも『大学に行くなら、奨学金は借りてほしい』という雰囲気があって。地元の国立であれば出してくれそうな感じもしましたが、ヤンキーばかりの地元から出ていきたい気持ちもあったので、東京の大学を目指しました」

ただ、今振り返ってみると、「兄よりも待遇はよくなかったのではないか?」と思うこともある。

「兄がまだ大学に在学している間に、僕の受験があったので、親も仕送りが手一杯になったのか、もしくは『次男』ということもあってか、当時は理不尽だと思える扱いを受けていました。例えば受験に際しても、兄は7〜8校も大学を受けられたのですが、自分は2校に絞られて……。まあすぐにキレる親だったので、これ以上一緒に生活したくないなと思い、そのことは何も口には出しませんでしたが」

進学校に通っていたため、ひとまずはMARCHを第1志望に据えた。しかし、とくに成績優秀というわけでもなかったため、小原さんは第2志望の東京の私立大学に進学することになる。

「理系の情報系の学科に進むのですが、選んだ理由というのも、その後の就職のことを考えたら、4年制大学の理系かな、と思ったんですよね。それ以上の理由はありません。正直、進学校ということもあり、高校を卒業してすぐに働くということがあまり想像できなかったのもありました。だからこそ、大学に行って、いろいろと考える時間が欲しかったんです」

新生活での奨学金の使い方

こうして奨学金を借りつつ、小原さんの新生活がスタートした。第二種奨学金(有利子)を毎月10万円、4年間で480万円。さらに、地元の奨学金を140万円貸与してもらい、合計で620万円となった。

「『かなりの額だな』とは思ってはいました。だから、地元の奨学金は半分ぐらいしか使ってないですね。第二種奨学金自体は親に預けておいて、学費に充ててもらうほかに、例えば携帯代が超過したらそこから差し引いてもらうようにしていました。地元の奨学金は普段はあまり使わずに就活のときまで残して、最後は第二種奨学金の返済に充てました」

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